飯が美味い

「晩ご飯は?何食べたい?」


ハンバーグ!っと答える訳には行かんよなぁ。簡単なものにしとかないとな。


「昼食べ損ねたからねぇ、ガツンってくるものがいいんだけど…。」


ハンバーグしかなくね?


「ハンバーグ…。」

「わかった!なら作るから、他のことしてて?」


…いい子過ぎない?ハンバーグって作るのめんどくさい方じゃないっけ?俺ハンバーグ作れって言われてすぐ作ろうってならないよ?え、こんな子が同棲するって言ってるの?


正直、少し嬉しくなってしまった。おい!裕太よ、それでいいのか?仮にも沙姫は、絢香の娘だぞ。いやでも、沙姫は、俺に惚れてるしな、ん?待てよ?これこのまま俺が家に沙姫を置いといて、俺は沙姫のこと好きにならなかったら…。


相手の気持ちを受けるだけの最低な男になるんじゃないか?それはダメだ。しっかり決めないと。


「出来たよー。」


早くね?まだ1時間ぐらいしか経ってないぞ?


「もう?もうできたの?」

「タネ作ってたから。」


意味がわからない。俺がハンバーグって言うと知ってたのか?


「お母さんから、裕太君ハンバーグ好きって教えて貰ってたから、朝から作ってた…。近いうちに必要かなって思って。」


なるほどな、って、まじいい子かよ。好物の下ごしらえしとくとか、いや、いい子じゃなくても好意を持ってくれてる子ならするのか?


とりあえず今は食べることに集中しよう。


「「いただきます。」」


!!!!美味い!なんだこれ!肉汁やばいぞ!溢れてくる。そこら辺のお店ででるハンバーグより美味しい。神か?


「やっぱり無言なんだね。でもにやけてるから美味しいんでしょ?…良かった。」


はっ、にやけてしまっていた。恥ずかしい。


「顔真っ赤じゃん。やめてよ、こっちまで照れるじゃん。」


照れてる沙姫が可愛く見えた。いや、美少女がどんな顔しても可愛いのみんなわかってくれるよな?


「はぁ、可愛いってずるいな。」

「…へ?」

「ん?」

「今…今可愛いって言った?」


口に出てしまったようだ。まぁ、可愛いことは変わりないからな。


「うん。だって沙姫は、可愛い方だろ。可愛いもんは可愛いぞ。」

「ばかっ!そんなに可愛いって連呼するな!照れる!」


なんだこの可愛い生き物は。ほっぺたムニムニしたい。そんなことはしないけどな。


「ご、ごちそうさま!お、お、お風呂入るから、覗かないでね。」


覗かねぇよ。朝にピュアはお断りって言ったの誰だよ。お前の方がよっぽどピュアじゃねぇか。


俺はピュアなんかじゃないからな、別にいきなりのことでびっくりしてただけなんだからな。別に女の子の裸初めて見たからとかじゃないからな。


朝のことを思い出して恥ずかしくなってしまった。やっぱり俺はピュアかもな。


沙姫がお風呂から上がり、俺も風呂に入った。


待てよ?これって、俺は沙姫が入った風呂に入るのか?少しドキドキしながら風呂場に入る。


まさかの、湯船の湯が抜かれていた。


少しショックだった。まじか、俺も湯船は浸かりたいんだぞ。まぁ、恥ずかしくなったんだろうけどね。あと、洗濯物を洗濯機に入れる時に見えてしまった。


黒のレース。反応してしまったのは許してください。あんまり経験ないんです。


あ、断り入れとくけど、同僚の絢香って言っても、歳は全然違うからね?この仕事入ったのが同じ時期だったってだけだから。絢香は若くないから。こんなこと絢香の前で言ったら殺されるけど。


お風呂から上がったら、俺のベッドで寝転がってる沙姫がいた。そうだ問題がもうひとつあったんだった。


「なぁ、もしかしてだけど一緒に寝るの?」

「え、ダメ?」


だから、ずるいんだって。男なら憧れるよね。美少女と、同じベッドで寝る。憧れないわけないよね。


「いや、でも、まだ俺が沙姫の事好きってなった訳でもないからさ、ほら恋人でもないのに一緒に寝るのは、ね?」

「やだ!一緒がいい。だめ?」


うわぁ。さっきと違って甘えた声でいいやがって、ズルすぎる。わかったよ。


「しょーがねぇな。」

「襲わないでね。」


おい。俺が襲うと思うのか?


「ピュアだから無理って知ってるけどね。」

「ちなみに言うけどお前もピュアな方だからな。」

「うっ…、」


図星だったようだ。


今日はぐっすり寝れるんだろうか。美少女が隣で寝てると思ったら寝れない気がする。


「そういえばお前服持ってきてたんだな。」

「うん。服は持ってきてたよ。明日色んな物を届けてもらうから。とりあえずは服だけね。」


ふーん。明日色んな物をここの家に運び込むのね。もう同棲確定だな。覚悟を決めるか。


「なぁ…。ほんとに俺でいいんだな?」

「…すやぁ。」


こいつ、寝るの早いな。まぁ、まだ好きになった訳でもないし、いいか。これから俺が向き合ってやればいい話だ。


明日、職場で色々絢香に言うか…。ふぁぁ…意外と眠くなるもんだな。


俺もすぐに寝た。朝起きて目を覚ましたら、目の前に沙姫の顔があってびっくりした。沙姫は、まだ寝てるから起こさないようにそっとベッドからでる。


「…へへ。お母さん…私…太さんと…する。」


幸せそうな夢を見てるな。沙姫は起きなさそうだから、今日は俺が朝飯作るか。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る