第8話 編入生は蝙蝠3


間違いなく黒柳さんはめっちゃ戸惑ってた。そりゃぁもう、会わなくたって分かるほどに……。まぁ、あの人は色恋沙汰には初そうだし分かる気はするけど。にしても絶対、これも萌えだわ


そんでどうしよう。とりあえず中に入るのはもちろんの事だけどさ

まぁ、説明して理由を聞いたあとは黒柳さんに報告すればいいっか



私は再びドアを開けた。匂いは消えていた

2人は簡単に服を着ていた。男の方は気にせずまだ着替えている

「その、ごめんなさいね?」

「いえ。お気になさらず。軍人は繁殖本能が沸き立ちやすいですから。普通のことです。ただ、一つ文句があるとしたら頼むから2時間前いえ、1時間前でも構いませんからそれくらいで辞めてください。匂いが苦手なので」

「ええ。わかったわ。それでその………。あなたが編入生?」

「はい。そうです。帝国立第3軍大学から来ました」

「そう……」

「それよりも準備しても?呼ばれているので急がないといけないのです」

「あ、そうなのね」

「ええ」


私は適当な場所にスーツケースと2つの大きな肩掛けバックを置いた。そして背中に背負っていたリュクサックのチェックを開けて準備を始めた

ちらっと男の方を見ると気にした様子もなく着替えている。ある意味、凄い度胸だなぁ………


「その……、大変ね」

「それでこの部屋の同居人はどちらなんですか?」

「え?あ、男の人の方よ」

「そうですか。恋人同士?」

「いえ、違うわ。セフレよ。私には最愛の婚約者がいるの。それに体の相性がいいだけだから特に何も無いわ」

「なるほど。それで……」

「ええ。気恥しいけどね」

「まぁ、当然です」



私は立ち上がりジャケットを脱いだ

その間にちらっと男の方を見たが部屋に行ったのだろう。居なくなっていた

スーツケースを開けてソードベルトをつけた

そして剣を出現させた。赤黒い剣が出てくる


すると彼女が前のめりで突っ込んできた

それも目をきらきらさせながら。こう見ると艶やかな美女が今では可愛らしい女の子に見えてきた

つい親友と似ていて笑ってしまいそうになる


「す、凄い!?こんな立派な剣。よく使えるわね」

「……父は軍人なので一応教えられました」

「そうなの!凄いわ。女性は細くて軽い剣が多いのにこんな立派な男性が使いそうな美しい剣は初めてよ。それにあなたに似合ってるのだから凄いわ!」

「とは言ってもつい最近まではただの一般人だったので弱いです」

「それでも凄いわ。魔剣は本人を表しているの。剣が素晴らしい人はその人も素晴らしいの!」

「それは初耳です」


私は剣をサードベルトに収めた

そして準備を続ける

「あなた名前なんて言うの?」

「え?あ、紅月 希愛です」

「そう。私は雫川しずくがわ 暁子きょうこって言うの」

「あっ……。雫財閥の」

「ええ。そうよ」

「あなたの剣とあなたを見てこれは覚えとかなきゃ損!て思ったの。龍鷹たつたかの誘い乗ってよかっわ!」

「……え?」

「実はね。私、『ヤダ』て言ったの。今日、編入生が急に来られたら困るからって」

「そうだっんですね」

「そうよ?それで龍鷹が最後なのにやらないのかて再三しつこく言われて……」

「あー……。なんかその、それほどいいんですね」

「ふふ。まぁね。でも終わり」

「その、別に私は気にしないのですが……」

「だとしてもあまりセフレとか良くないからね」

「まぁ、確かにそうですが……」

「それに希愛ちゃん、美人だからきっとお呼び出しはないわね。その前に希愛ちゃん捕食しそう」

「……それは私にとっては大問題なのでお願いします」

「まあ、頑張ってみるわ」



私はバックに用紙を入れていく、筆箱と支給されたタブレット、軍事手帳を入れて立ち上がった

すると奥のドアが開く音がした

そして例の男こと龍鷹が出てきた



顔を見てわかった。その顔はよく動画やSNSで有名な………

「………………えっ?ええ!?!?!!」

「希愛ちゃん。どうしたの?急に大声出して」

「今更気づいたんだけど。この人皇太子殿下だわ!」

「え?気付かなかったの?」

「ええ。頭が違う方で混乱していたので……」

「ここでまともに驚くのね」


「…………」

すると彼は私の顔をまじまじと見た

そして眉間の皺を寄せた

さすが美人!怒った顔も神々しい


「意外とファンだったとか?」

「いえ。普通に印象的だったので覚えているだけです」

「それにしても冷静なのね」

「ふふ。なんか抜けていて可愛いわね」

私は腕時計で時間を見た

「……あっ!!行かないと……」

「悲しいわ。また機会があったら喋りましょう?敬語無しでね?」

「え?あ、はい」

私は彼女にニコッと笑った




「………お前も黒柳に呼ばれたのか?」

動画で見てたけどさらに生は美しい低い美声だった

なんかこれなら声で孕むっていう言葉の意味もわかる気がするわ。なんか色々な意味で超人だわ

それを押隠しているけど

「ええ。来るようにと」

「そうか」



私たちは部屋を出たのだった。こんな物を見た後で冷静に会話できるのは私くらいじゃない?

今更、だけど

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る