第5話 指揮するオペレーター4
目の前の女が通信しているのがわかる
音は若干聞こえる。その内容から察してオペレーター
これはチェックメイトだな
(
そん考えたらさらに力が出る
女のすぐ背後にたどり着いた
容姿や匂いから察して吸血鬼に近い人間だと察した
すぐ背後にいることに気づいているみたいだ
彼女はカチッという音を出して通信を入れた
「くっ!?」
「随分と遅いんだな」
女はアサルトライフルを構えた。もちろん中身は実弾ではなく演習弾だ
「22……。19……」
「オペレーターA!!!!!」
私はその声と同時に魔力切れを起こした。急に減速したため前にぶっ飛ぶ形になった
「っ!?!??」
応援部隊のみんなが受け止めてくれるのがスローモーションでわかる。私は安心し体をリラックスさせた
「良かったぁ。オペレーターA。よく無事で……」
「何とか逃げきれました。ありがとう」
私は下ろしてもらいその場にたった
私は試合の制限時間を見た残り4分。明らかに決着つけるのには微妙な時間。私はどうしたものかと思い悩む。このまま戦闘すれば無駄に疲れるだけだし、だからって対立構想真っ只中も居心地悪いからやだなぁ……
後ろから敵のオペレーターと思しき人達が来た
「この人が敵のメインオペレーターですか?」
「ああ。女の奴がだ。もう1人は?」
「高度な幻術魔法で闇雲にされてしまいました。そのため諦めこちらの方に合流を」
「………そうか」
「……。合流されてしまいましたね」
すると後ろから男の大声が聞こえてきた
私は振り返った
「オペレーター!!大丈夫か!?」
「へ!!??あなたがCOA?」
どこかで見たことがある気がする
細身のイケメンで黒髪に琥珀の瞳……
どっか出みたなぁ。それもなんかめっちゃ印象的だった気がする。似てる人かもしれないしあれだけどさ
でも、なんか覚えてる気がするんだよねぇ?
「ああ。ん?どうにかしたか?」
「いえ。どこかで見たことがある気がしただけです」
「そうか」
気になるは気になるけどこれ以上考えても無駄
それに後でなんかしらかで思い出す気がする
だから私は前を向いた
どうやら敵の方の通信が来たみたいだ
『こちらCO
敵指揮官が私をじっと見る
私は堂々と立つ。けど、実際は魔力切れでちょっときつい。それでもしっかりと敵指揮官を見つめた
さすがイケメン首席だけあって高身長で爽やかわんこ系イケメン。普通なら見惚れる程だがここは戦場。何があるか分からない
「
そう言葉にした自分でも驚いている。私はこんなにも冷たく冷静な声が出せるということに
しばらく沈黙があった後、彼は大笑いし始めた
なんだこいつ?頭大丈夫?普通は笑わずに負けだと認めるところじゃないかなぁ?
「俺が追い込まれるなんて久しぶりだな……」
そう言って喉仏で笑ってる。そして言葉の内容を汲み取ると負け知らずなのが分かってなんか闘争心に火がつく。めっちゃ腹が立つしぶん殴りたいわぁ………
「……なんか腹立つ」
「ああ。腹が立つな」
隣を見るとCO
というか物凄い鬼形相で殺気まで放ってるのだからいくら私でも一瞬固まる
「そういえば敵指揮官にすっごい殺気放ってますけど大丈夫ですか?CO1」
「こいつに彼女を奪われてな」
「あー……。寝盗られ?」
「いや、振られた」
「あー……。それは完敗です。CO1」
「冷たいな……。オペレーターA」
「まぁ、性格よりも顔や成績を選んだクズ女から離れられたのだからマシだと思い込めばいいんです」
「お前、敵指揮官の方を支持してねぇか?」
「えー?どうやったらそうなるんすか?私は『昔の女など忘れてほかの女とでも遊んでいろ!』という意味で言ったんですよ?」
「俺はそんな趣味じゃない」
「あれ?獣人は確か性関係は緩いって………」
「緩いからってみんなが誰彼構わずやってる訳じゃない」
「でも?」
「でも、そこの指揮官は自粛精神すらない」
「なるほど」
私は『うわぁ、やばい人だわぁ…』という感じを増し増しにして彼をちらっと見た。本人は意外と思ってなかったりするけど
「俺をどこぞのクソ野郎にするな。
「まともだったら友達の彼女を奪うのか?」
「お前を振ったあとに俺に告っただけだろ」
「彼女に限ってそれはないと思うが?」
「そもそも、お前と付き合ってる時は触ったことも無い。あと自惚れるなよ。色々とウザいと言ってたぞ」
「んなっ!?嘘はやめろ。クズ」
喧嘩の火花は燻ってる
私はため息をついたあと、二人の間に入った
「ハイハイ。ストーカーになりかけているCO1と私に負けて悲しい首席。どっちも可哀想だから喧嘩したら余計に可哀想になりますよ?」
「俺はまだ負けていない!」
「そもそもストーカーになっていない!」
「意地っ張りで頑固な男はモテません。だいたいモテる人は意見を聞いて柔軟にできる男です」
「それはここでは関係ない!」
「瑞羽に好まれなければ意味が無い!」
「まぁ、本人が聞いたら2人とも振られる未来が見えてますけどね?」
「「は?」」
「実はですね。私はずっとトランシーバーの通信を永続していましてね。話しがダダ漏れだったんですね」
そう、さっき2人の言い争いしてる時に気づいてしまったのだ。トランシーバーの全体通信、つけっぱなしを…。面白そうだし締めくくるのにもってこいだと思って放っておいた
「はぁ!?!?」
「……お前、本当に殺すぞ!!!」
「いやぁ。おっちょこちょいな私らしいですね」
私は2人を見ながら首を触り、満面の笑みを向けた
2人が激怒しているのが痛くわかる。なんなら鬼の角も生えてきそう。まぁ、馬鹿どもを押さえつけるのにはちょうどいい
するとブザーが鳴る。どうやら試合は終わりみたいだ
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