第4話 指揮するオペレーター3



俺こと神谷神谷 りょうはこの状況を見て頭を悩ませている

恐らく指揮を変えたのだろう。指揮官からCOになったか…。するともオペレーターかそれらの中からだろう



ただ、上手い敵ではある

撤退してる時、分散撤退をすることで罠がある。そう思い込まされるには十分だった

可能性は低くとも危機を避けるのが指揮官として当然のことだ

例え見えていても無闇に行けない



『こちらCO1ワン。コマンダー。これからの行動を教えてください』

「敵COは慌てていたかどうか聞いてくれ」

彼女は戸惑いなくやる。そもそも俺を見上げることもしない。すぐ指示することを分かっているからだ

『こちらオペレーターA。CO1、敵COは慌てていましたか?』

『ええ。カバーで忙しそうでした』

「なら、敵の頭を突く」

「え?」

「は?」

『こちらオペレーターA。敵の頭を突く』

『は?』

『まじかよ……』

動揺が広がっているのは目に見えてわかった

オペレーター達は作戦室全体を通信させた

「おそらく指揮をしているのはオペレーターだ。味方のCOが慌てている時に指揮など無意味だ」

「……オペレーターが」

「ああ。相当腕のいいオペレーターだ。頭もいい上に統率性がある。なぜ戦術作戦科に推薦されなかったのか謎なレベルだ」

「……それで奇襲作戦を?」

「ああ。指揮官になれるほどのオペレーターが実直な行動をしないはずだ。オペレーター故に状況把握が早い。我々の作戦など遠にバレてるだろう。だから敵拠点の奇襲だ」

「サーチをやるのではダメなのでしょうか?」

「場合によるがほぼ無理だ。アサシンが一人しかいない上に敵サーチは2名だ。確か敵サーチの1人はアサシン科の推薦があった」

「それに厳重な警護付き……。無理ですね」

「そういうことだ。奇襲作戦が最もいい手だてだ。敵の動きに気にせず、時間さえ守って戦闘してくれば勝ち筋は見えてくる。ここは戦場ではなく試験だ。敵指揮の撃破で勝ちだ」

「なるほど……」

「だが、こっちがすればあっちも対抗策としてしてくる可能性がある。ここにいる作戦室全員で奇襲を決行する。臨機応変に対応は出来ないがその代わり敵の裏をつけ混乱を産めるだろう」

「CO1。了解」

「アサシンA。了解」

「サーチズ。了解」

「これより決行する」






私は廃ビル群まで行くことが出来た

ビル転々としてに身を隠しながら行く

おそらく敵と接する場所はビル群なのだ

ここのビル群を上手く通過出来れば勝ちか引き分け

出来なければ負け

要は命運は私達にかかってると言っても過言ではない


私は小声でオペレーターBに話しかける

「オペレーターB。ここからはトランシーバーの電源を切りましょう。音を取って来るかもしれません。敵がいちばん近くに来ます。なのでここで黙って待機しましょう」

「了解です」

「索敵魔法が使えないといいんですけどね……」

「そうですね」


すると魔法音が廃ビル群に響く

おそらく高速移動魔法で移動してるのだろう

すると立ち止まった。敵の声が響く



「指揮官。至近距離に人がいます。2人です」

「見つけたか」

「よりにもよって廃ビル群なんてタチが悪いな」

「性別は?」

「男女です」




私はオペレーターBに紙を渡す

その内容には作戦を書いた


まず最初、幻影を使って誤魔化す

そして分散して逃げる

それだけだ


大丈夫なのかという視線を送られた

私は魔法力が弱い。故に逃げられるか心配なのだろう

私は紙に書き方した


廃ビル群を抜けられるぐらいの魔力はある

最悪、ライフル銃で応戦するから気にしないで


と書いた

すると彼は頷き、魔法を発動させた

彼は幻影魔法、治癒魔法が使える。索敵魔法も少し使えるそうだ

高能力な幻影は敵を惑わし時間を稼ぐにはもってこいだ。その中でも錯乱させる濃霧とバレても時間稼ぎができる程の万能な規則移動デコイを魔法で出現させた


私は彼を見て頷いたあと、行動を開始した

私の属性は一応、闇魔法黒炎属性

高速移動魔法は使える。でも、高い魔法容量はないので速さは若干劣る。それでもないよりはマシな方だ


彼は西に私は北に行く

速さは30キロあるかないか。速い人だと50キロの人もいるのだから遅いのはわかる

それに持っても5分

前髪が飛ばされ、体全体にあたる風を感じる。前髪が飛ばされているが気にしない




「っ!?」

「なっ!??」

「幻影魔法だと?!!」

「索敵魔法だ」

「あ、はい」

「どうだ?」

「デコイが生成されています。行動パターンを見ないと……」

彼女が苦虫を噛んだ顔をしている

みんなそれは同感らしい。やはり指揮官が未熟なだけで部隊メンバーは悪くない。勿体ないくらいだ

「そうか。60秒観察してくれ」

「了解です」

「これよりチームを二手に別れよう。オペレーターは男の方を。俺は女の方を追う」

「了解」

「オペレーターB。トランシーバーを貸してくれ」

「はい」




オペレーターBは俺の手にトランシーバーを置いた

『こちらコマンダー。状況説明求める』

『こちらCO1。サーチズ破壊のため混乱している。損害率はざっと見て5割。アサシンはやられた』

『……了解。敵の方は?』

『7割です』

『きついな』

『ええ』

『敵指揮官の撃破が先決だな』

『そうですね。でなければ負けかギリギリ引き分けですね』

『ああ』

通信を切って、オペレーターBに渡した



どっちかがメインオペレーターだ。確実に狩らなければならないな

まさか俺が出ることになるなんて……。余程の敵だな。ここまで楽しくなったのは皇太子殿下以来だな……

何となく感情薄い俺が笑ってる気がした

「どうだ?読めたか?」

「読めました。おそらく西方向が男性で北方向が女性です。速さ的には女性の方が遅いですね」

「そうか。では予定通り作戦開始する」

「了解です」

「了解」




女の方を急いで追いかける。合流されたら迷惑だ






何とか急いでいるけどなかなか抜けられない

私はトランシーバーの電源を入れた

『こちらオペレーターA。これより復帰する。現在、敵アサシンから退避中。場所は廃ビル群。オペレーターBは西から私は北から逃げている。対応求む』

『こちら応援部隊。了解した』

『こちらCO1。先程、サーチAから敵拠点がもぬけの殻だと報告を受けた。とりあえず帰還命令を出した』

『もぬけの殻だと……。ということはまさかアサシン単体?いや、まさか……。指揮官自ら奇襲してるということ……?』

『その可能性は高い。戦闘中に敵アサシンを見たという報告も来ている』

『こうなると尚更、逃げなければ……』

敵指揮官は強い可能性がとても高い。魔法戦闘では間違いなく敵指揮官の方に軍配が上がる。逃げなければ狩られてしまう!


『ああ。こちらの方はだいぶ掃討出来ている。そのため本官そちらに向かっている』

『助かります、CO1。応援部隊は急いでください。私の魔力が切れる前に合流したいです』

『こちら応援部隊。了解。努力する』




あともう少しで廃ビル群から抜ける。そうすればあとは走って味方と合流すればいい

すると後ろから魔法音が響く

おそらく追っ手が来たのだろう。あまりにも早すぎる

予測では抜けて少しは時間が少しあると思った

いや、追ってきた人のレベルがおかしいんだ

私はさらに魔力の放出度を最大限にした

それでもどんどん近づいてくる



『こちらオペレーターA。敵アサシンを視認。私の通信が切れた場合、CO1に指揮を譲渡する』

『…こちらCO1。了解。どうか生き残ってくれ』

『頑張ります』

『こちら応援部隊。あと1分でオペレーターAと合流します。頑張って耐えて!』

『了解です。足掻いてみせます』



私は通信を切ったのだった


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