第3話 指揮するオペレーター2
120秒が経った
『こちらオペレーター
『こちらCO
『残存魔力は?』
『約7割だ』
『7割!?ということは所定の爆破攻撃はしていないのですね?』
『ああ。その前に混乱してしまった』
『了解しました』
『サーチ部隊の残存魔力はいくつぐらいですか?』
『こちらサーチA。だいたい3割です』
『こちらサーチ
『了解しました。ではサーチAはソージャーに混ざってください。サーチBは前衛にて索敵魔法を展開してください。サーチBのカバーですがCOAがメインカバーをソージャー
『こちらサーチズ。了解した』
『こちらOC1。了解。それで作戦内容は?』
『戦術は簡単です。サーチBを利用した陽動作戦です。真の目的は敵サーチの撃破による混乱です。成功すれば各個撃破。失敗すればアサシンによる敵拠点の奇襲による指揮の麻痺による正面衝突です』
『了解した』
『アサシンズ。欲しい情報とメンバーがいますか?』
『こちらアサシンB。どのような形で動いた方がいいか教えてくれ?』
『あ、すみません。アサシンAとアサシンBが敵と味方を挟む形で動いてください』
『こちらアサシンB。了解した。感謝する』
『いえ。私こそ忘れてました』
『こちらアサシンA。サーチAを頂いても?確かサーチAはアサシンの推薦を受けていた記憶がある』
『了解しました。ではサーチAはアサシンズに混ざって行動してください』
『こちらサーチA。……了解した。……よく知ってたわね。アサシンA』
『勿体ないと感じたからな。お前ほどの才能あるやつならアサシンの方が……』
『それは……』
私は咳払いした
『それについては後ほど話してください。アサシンに転化するかしないかはここでは必要事項ではありません』
『こちらアサシンA。済まない』
『こちらサーチA。ごめんなさい。取り乱してしまったわ』
『いえ。では作戦開始します。アサシンズには制限時間を設けます。制限時間は600。それ以内に完遂または報告を』
『こちらアサシンズ。了解した』
『では制限開始』
すると各部隊の動きが見える
私は部隊にサーチBの情報をリンクさせた
サーチBによる部隊変更以外は前衛と後衛は変わらない
アサシンズ達も敵の索敵魔法を回避する形で向かっている
すると索敵魔法に敵が見えてきた
敵は一瞬固まっている。こんなの教本にも聞いた事ないだろう
少しして敵の動きが変わった
敵はCO1達を避け挟む形でメンバーの撃破を狙ってきた。もちろんサーチズを分けている
これは私がこの指揮官を見て狙っていたことだ
この指揮官は上手の方だ。そしてCO1に力を向けさせることで各個撃破を狙っていると考えるに違いない
そこをアサシンズが囲む形でサーチの撃破が出来れば勝ちだ
『サーチB。中距離索敵魔法の展開可能ですか?』
『こちらサーチB。可能だ』
『では行ってください』
『了解した』
すると前方に敵アサシンズが見えた。見た感じ端に見えるから結構、遠回りをしている
横を突く場所を通り過ごしている時点で敵拠点を目指している
急な分散撤退に上手い動き。ここから見るに指揮官が変わったのは分かるだろう。そしてCOを見れば指揮をしてるのがオペレーターくらい分かるはず
『こちらオペレーターA。敵アサシンズが我が拠点を目指している可能性がとても高い。そのためサーチA及びアサシンAのどちらかを敵拠点の奇襲を向けて下さい』
みんな混乱すると思ったがどうやらしないらしい。私が冷静だから?にしてもし過ぎのような……
『こちらアサシンズ。了解した。サーチAを向かわせる』
『了解。サーチAの魔力は大丈夫なのでしょうか?』
『こいつの得意魔法は闇魔法だ』
なるほどね。索敵魔法と闇魔法は全く違うもの。得意魔法とサブ魔法との魔力残存容量は全く違う。天と地の差ほど違う。となれば得意魔法の方の残存魔力はほぼ残っている可能性が高い
この選択は良き決断に違いない
『……了解しました。ではサーチA。敵拠点の奇襲をお願いします。なるべく迅速に』
『サーチA。了解しました』
『こちらCO1。失敗したらどうするんだ?』
『その時は全力で私だけでも逃げます。現指揮を取ってるのは私です。私さえやられなければ勝ちです』
『そうか。迅速に進めるのが貴官にとっても先決だな』
『ええ』
私は画面を見る。アサシンズが上手くやっているみたいだ。特にサーチAの適正能力が高かったという話は事実だろう。ものすごい速さで敵拠点に向かっている
時刻的には260秒くらいたった頃だ
『こちらアサシンA。敵サーチ1名を撃破』
『こちらアサシンB。敵サーチ1名撃破。敵は混乱している』
『!?』
『すげえ。アサシンズ……』
歓喜の声と共にアサシンズに対する褒め言葉が飛び交っている
『了解。では、状況の報告をお願いします』
『こちらCO1。損害率軽度。約、8割生存してます』
『こちらアサシンズ。全員生存』
『こちらサーチB。生存してます』
『了解しました。サーチB。4000メートルまで伸ばせますか?』
『できます』
『ではサーチB。私の方に向かって展開してください。10秒程度で構いません』
『こちらサーチB。了解』
するとサーチBからの情報が届いた。どうやら敵アサシンは結構進んでいるみたいだ。映りもしない。ここまで来たら至急避難が必要だ。あと、15分もしないくらいで来る可能性がある
『こちらオペレーターA。サーチBの情報により敵アサシンが10キロ圏内に入っていることを目視。これより退避する』
『こちらCO1。了解した。ソージャー
『了解』
『アサシンズも向かいます』
『アサシンズ。助かる』
『いえ!』
『残りは掃討戦だ。行くぞ!』
私はパソコンにパスワードロックをかけてシャットダウンした。開けばパスワード入力が求められる。それも親友の好きなスイーツの内容なんだから知るわけが無い。知ってたら……ストーカーとして訴えようかなと思ってる
私は訓練用ライフル銃と無線機付きの戦闘服を着る
「オペレーターB。指揮官は縛り付けているのですね?」
「ええ。封印魔法と睡眠魔法で」
「なら、指揮官は放置して2人で脱出しましょう。今必要なのは我々2人です」
すると彼は私と同じように準備を始めた
私はひと足早く戦闘服を着ているので他の書類や徹底的な隠滅をする
「了解。教官に怒られないでしょうか……」
「この場合、迅速さが重要です。連れていくと時間がかかります。それに暴行をした時点でもう指揮官ではありません」
「確かに。そうですね。すぐに対処できなかった自分が惜しいです」
「混乱している状況の上に突然の指揮転換です。混乱するのは普通の人ならある事でしょう」
「オペレーターAは本当に冷静ですね。全ての指揮が上手く進んでますし。指揮官の方が向いてるのでは?」
「さぁ?それは教官が決めることなのでわかりませんが。とにかく指揮官の無駄の多い空気の読んでない策は駄策ですね」
「ええ」
私は一通りバックに物を突っ込んだ
書類も全て鍵のある箱に突っ込んだり、パソコンにはロックをかけている。少しの間なら大丈夫。多分……
ハッカーがいるなら別だけど
「オペレーターB。準備はできましたか?」
「はい」
「では参りましょう。これからは隠れていきましょうか」
「無事にたどり着ければいいのですが……」
私は頷いたあと、ドアを開けた
目の前には紅葉と金木犀の匂いが立ち込める
甘い独特な匂い。それがこの場に似合わなすぎて逆に合っている気がする
外に出た私たちはライフル銃を構え小走りしながら当たりを見る
「オペレーターBは確か中距離索敵魔法が可出来ましたよね?」
「ええ。少しならできます」
「では、一旦お願いしても?」
「了解しました」
オペレーターBは顔を伏せて魔法を発動させる
彼は顔を上げた
「近隣にはいましたか?」
「いません」
「なら、時間の問題でしょう」
するとザーという音を無線は放ったあと、聞いたことのある声が言っている
「こちらサーチ1。敵拠点を発見。これより突入する」
「こちらオペレーターA。了解。気を付けてください」
「分かりました」
「もう一度、索敵魔法を放って」
「了解」
彼はまた、先程と同じ行動を繰り返した
「どうですか?」
「こっちに向かってきています」
「バレたか……。行きましょう。オペレーターB」
「はい」
私は急ぎ足で作戦室から離れたのだった
いつもより長くてすみません
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