第4話 誘われてしまいました

 どうしましょう。あの2人から夕食に誘われてしまいました。


 やっぱり今までの態度とか怒られるのでしょうか。最初に出会ったときとかとても失礼な態度を取ってしまいましたし…。でも怒って当然の事もありましたし…ペンとか。


 イキョウさんが嬉しそうなのも、私を逃がさないための嘘かもしれません。2人は指輪の効果がありませんから私を簡単に騙せます。緊張してきました。怖いです。でも一度行くと言ったのに後で断るのはちょっと。それにシアスタちゃんにあんな顔されたら断れません。


「いいな~ローザ先輩」


 今の時間帯はギルドに人が少ないので、レイラさんがこちらに来ていつものように雑談が始まります。


「羨ましいなら代わって欲しいです」


 つい心の声が漏れてしまい、はっとします。


「…? 何か言いましたか?」


 声は小さかったのでレイラさんの耳には入ってなかったようで安心しました。


「いえ何でも。そうだ、レイラさんも行きたいなら私から伝えてみましょうか?」


 イキョウさんとソーエンさんの力のことはスノーケア様の命令により口外禁止になっています。ならレイラさんがいれば叱ることができず、もしかしたら普通のお祝い会で終わってくれるかもしれません。


「いやー、あのイキョウさんの喜び様を見たあとで、それは無粋なので私は遠慮しておきます」


 ああ、ダメでした。よく考えればレイラさんを利用しようと思ってしまった自分が恥ずかしいです。


「分かりました。でも何が無粋なんですか?」


「それは…内緒です!!」


 質問責めをすれば聞き出すことは出来ますが、仕事に関係ないようなことを聞き出すなんて審議師として恥ずべき行為なのでやりません。


 いつまでもうじうじしていられません。覚悟を決めましょう私。


 私が怒られることよりも2人に怒ることの方が多かったのですから、失礼な態度を取っていたこと以外で怒られたら反撃します。


 夜まで、夜までには覚悟を決めましょう。今はまだ早いですもんね。

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