第18話 戦いの全ては唐突に
「おい兄ちゃんたち、なに晒してくれとんじゃ」
ホラやっぱり。世界はそんなに優しくなかった。
ベンチの後ろから声がしたが、振り向くのがめんどくさいので背もたれに寄りかかりながら頭ごと後ろへ下げる。オレの目に映る世界は逆さまだ。
後ろにはスキンヘッドとモヒカン、アフロがたっていた。全員蛮族みたいな格好をしている。
この綺麗な町に合うようなファッションには見えないから、道でも間違って迷い込んできてしまったのだろう。
「強盗か? 金ならないから他を当たってくれ」
「なんだこいつ等は。山と町を間違えたのか?」
ソーエンはベンチに手をかけて身体をよじりながら後ろを見ている。
「ちげーよ。俺達はだな、お前達が嬢ちゃんに煙草を吸わせてるのが見えたから一発お説教をしようと思ってな」
スキンヘッドが拳を鳴らしながら、何やら分けの分からないことを言ってオレ達を威圧してきた。
大方、難癖つけて金を巻き上げる算段だろう。山賊がやりそうな手段だ。
「ケケ、ここじゃなんだ。面かしな」
モヒカンが顎をクイっとし建物を指す。その棟は、確か会議室しかなかったから……建物の裏に来いという事だろうか。でもそっちは普通に人が通る道だしなぁ。あっち側は表通りだぞ。
「…」
アフロは何もしゃべんねーのかよ。お前が一番目立ってるのに。
でも無言で背中に背負っている大きな斧の柄に手をかけているのは怖い。
「あれ?平和の旗印さんじゃないですか」
シアスタがこちらの状況に気づいて近づいてくる足音が聞こえる。
近くに平和の旗印がいるのか。弱いもの苛めを見かねてオレ達を助けに来たのかな?
でも、足音はシアスタの一つしか聞こえない。
下手に何か言って揚げ足取られた挙句、慰謝料請求とかになったらめんどくさい。
蛮族どもは無視し、一旦顔を元に戻して平和の旗印に助けを求めようと周りを見るが……オレ達以外には誰もいない。
平和の旗印どこ?
「けけ!? シアスタちゃんダメだよ、ペッしなさいペッ!!」
「? 何がです?」
シアスタは一体誰と話をしているんだ?そんな優しい言葉使いのやつはここにいないぞ。
もう一度頭を後ろに倒して蛮族共を見るとシアスタに三人が群がっていた。
「せめて煙草は20になってからにしようね!!」
「何か悩み事でもあるのかい。力にはなれないかもしれないけど話なら聞くから、煙草に逃げるのはやめよう、な?」
「…ダメ…タバコ」
「え、えぇ…何のことですか…」
なんだこの状況、三人で囲んでシアスタを諭している。アフロはオークみたいな喋り方してるし。シアスタは訳が分からず混乱してるじゃねぇか。
「あ!!違いますよ、煙草じゃありません!!」
ちゅぽんと口からアメを出し、三人に見せ付ける。
あー、あのちゅぽんやんないと溶けたアメが手に垂れてべたべたになんだよなーわかるー。
頭を使いたくなくて思考が停止しかけていたが、そろそろ動かすか。
逆さまになったままの顔で煙草の煙を吐く。
「あんた達一体なんなの?」
ソーエンは興味を無くして前を向いているが、話くらいは聞いているだろう。
「イキョウさん、ソーエンさん。こちらの方達は平和の旗印さんです!!」
シアスタの言葉を聞いたソーエンは驚いてすばやく身体を捻って三人を見直し始めた。
オレもびっくりだよ。
「いや、名前と見た目のギャップが…」
「侵略の狼煙って見た目だろう」
「ちょっと、失礼ですよ!!平和の旗印さん達は、昨日私がしつこく勧誘されているところを助けてくれました。とってもいい方たちです」
「いいんだよ嬢ちゃん、初対面でよく見た目のことは言われるから慣れてる」
ぜってー嘘じゃん、後ろのアフロまた斧に手かけてっけど。
「ケケ、こっちも勘違いして絡んじゃったからね。お互い様だよ」
その言葉でアフロが斧から手を離した。
割と良い人そうなので態度を改め、ちゃんと立ち上がって話をしよう。
丁度煙草も吸い終わったし。
ソーエンはとっくに吸い終わっていたらしく、いつの間にか吸殻を片付けていた。
オレは座ったままブーツの底で煙草を消して、吸殻をポケットに入れるふりをしてボックスに入れてから立ち上がる。
「紹介します。こちら私達のパーティ<インフィニ・ティー>のメンバー、イキョウさんとソーエンさんです」
「イキョウです」
「ソーエンだ」
シアスタがオレ達を紹介してくれたので、軽く会釈をして自己紹介をする。
「なるほどなるほどパーティか…おいモヒカ、ちょっと嬢ちゃんと遊んでてくれ。俺はこいつらと大人な話をしてくる」
スキンヘッドの様子がちょっとトゲトゲしくなった気がする。なんで?
「はいよ。シアスタちゃん、ちょっと俺と遊んでくれない?」
「いいですよ、押し相撲しましょう!!」
「おいフロー、行くぞ。お前らもちょっとこっち来い」
シアスタとモヒカンはさっきオレ達が遊んでいたところに移動して、そこから離すように、オレ達はもっと壁際まで寄せられた。
そしてスキンヘッドとアフロに壁ドンをされる。
「おいてめぇら、嬢ちゃんが氷の精霊って知って利用しようとか考えてるんじゃないだろうな」
スキンヘッドがめっちゃ怖い顔でオレとソーエンに凄んできた。
フローとか呼ばれてたアフロはまた斧に手をかけてるし、やっぱり平和の旗印とか嘘だろ。
二人ともガタイがでかいから壁と壁に挟まれている気分だ。
「そんなことは一切考えていない」
「そーそー、むしろシアスタがオレ達を利用してきた」
「嬢ちゃんが?」
「そーだ」
何やらいぶかしげにオレ達を見ている。
目が装備や体、手や足に移りまた顔に戻ってくる。
「まぁ、嬢ちゃんが選んだってんなら俺達も文句はないけどよ……」
そもそもオレ達は文句を言われる筋合いが無いので当然だ。
「なら早く解放してくれよ」
正直暑苦しくて息がつまりそうだ。
「少し話を聞け。昨日見た嬢ちゃんはな、とてもつまんなそうな表情してたんだよ。今日みたいに元気ハツラツじゃなくて、周りがどーでも良さそうな雰囲気でよ、俺達が助けてくれたーなんて言ってるが譲ちゃんを本当に助けたのはお前らだと思う」
スキンヘッドから聞いた話は、オレ達の知っているシアスタと全く違うものだった。
昨日のシアスタは今日のシアスタと違ってとても寂しく冷たいような、まさに氷の精霊にふさわしいような印象を受ける。そんな近寄り難い雰囲気だったのか。
「オレからしたらただの元気な子供にしか見えないけどな」
「むしろその姿しか想像できん」
「あの子を笑顔にしてくれてありがとう」
「……カンシャ」
スキンヘッドとアフロが目の前に立ったまま急にお礼を言ってくる。
お礼より先にどいてくれ、とは言わないがせめてもうちょっと離れてくれ。
「なぜお前たちが感謝をする」
ソーエンの言う通りだ、コイツらはシアスタの親でもなければ兄弟でも家族でもない。昨日初めて会った赤の他人だろうに。
「子供は宝だ。そして子供の笑顔は宝の輝きだ。あの嬢ちゃんの笑顔をお前らが取り戻してくれたおかげで、俺達はその輝きを見ることが出来る。だから見せてもらったことへの感謝だ」
スキンヘッドが言葉をかみ締めるように理由を教えてくれた。
…なんでこんな立派で崇高な考えを持っているのに、蛮族の格好をしているんだろう。顔はあれだが、クマさんとかチューリップが描いてあるエプロンでも着ていた方が似合う気がしてきた。
でも、人の装備に口出しをするのはマナー違反なので黙っておこう。
「ときに話は変わるが、お前らレベルはいくつだ」
急にレベルの話をされて少し困惑するが、質問には答えよう。良い人たちだし。
「20」
「21」
嘘を言うのは心苦しいけど、一応これでギルドに登録してるから半分本当ってことで。
「エモノは」
「ダガー」
「クロスボウみたいなものだ」
ソーエンの銃は説明が難しいので、適当にはぐらかして答えている。
それにしてもさっきからスキンヘッドは何が言いたいのだろうか。
「うーん、そうなると嬢ちゃんが襲われたときに守るのは大変だろう」
オレ達やシアスタのことを心配して強さを測っていたのか。
マジで良い人たち過ぎない?
「ちなみに平和の旗印はどんな感じなの?」
「俺、ああ、名前はキンスっていうんだが、レベルは41で手甲使いだ」
確かに腰に二つの手甲がぶら下がっていた。
「フロー…42…斧使い」
アフロは見た目通りだな。
「あっちのモヒカは俺と同じ41で魔法使いだ」
嘘だろ……? あの見た目で魔法使うのかよ…。
「等級は全員2等級だ」
「めっちゃ高いじゃん…」
しかも、オレ達より遥か上の存在だった。
「といっても人助け専門みたいなパーティだから2等級にしちゃレベルは低いがな」
それ専門のパーティって普通ある?
聞けば聞くほど驚きの情報しか出てこない。
見た目以外は完璧な、聖人君子の集まりなのか?
「低いって、普通はどれくらいなんだ?」
「2等級は強いモンスターをよく狩るから50前後の凄いやつらばっかだな」
オレからしたら人助けだけをコツコツやって2等級になった平和の旗印の方が、レベルの高い人たちよりも凄く見えるよ。
「俺達のことはこれくらいでいいだろ。でだ、お前ら俺達と手合わせしてみないか?」
「急になんで?」
実はまだ名前や見た目のことを恨んでいるのか?
「いや、俺達もレベルやランクだけじゃ人を測れないのは重々承知している。ただ、お前らがあまり強そうに見えなくてな」
人は数字だけじゃ計れないとか、口を開けば徳の高いことしかいわなねぇなこの人。キンスだっけか。坊さんのほうが向いてるぞ。
「それで、もしよかったら戦って実力を見てみようかと。装備の破損や怪我なら心配するな。修理代や治療代は俺達に請求してくれて構わない」
アフターケアまでばっちりかよ。
「なにかあってからじゃ遅いんだ。お前達が怪我しないためにも今見極めて、もし必要ならアドバイスや稽古もしてやるから」
次のステップのことまで考えてくれている。至れり尽くせりだ。
昨日あっただけのシアスタのことをここまで考えてくれているんだ。本当に子供が大好きで、守ろうとしてくれているんだな。
今なら平和の旗印という名前が如何に相応しいかが分かる。
「分かった。あんた達の胸を借りよう」
「そうか、それは良かった。ありがとう」
ニカッと笑って快く引き受けてくれた。
上のランクの冒険者と手合わせするとか、どっちかっていうとオレ達が頼む立場のことじゃないこれ? なんでそっちが感謝してんの?
「よし、早速始めるとしよう」
そんな疑問を持ちながらも、懐が深すぎる二人が歩き始めたので大人しく付いていくことにした。
オレ達はモヒカとシアスタの方へ合流をし、さっき話し合ったことを伝えて2対2の模擬戦を行うこととなった。
キンスの話によると、このギルドは魔法で強化されているので並大抵の魔法では壊れないらしい。だからといって街中で魔法をぶっ放す訳にも行かないので、魔法使い組はベンチで待機。
結果として、近接組だけで手合わせを行うこととなった。ルールは先にどちらか一人を行動不能か戦闘不能にしたら勝ち。
「ちょっと作戦タイムで」
「分かった。ゆっくり考えていいぞ」
急かさないのか。心が広すぎんだろ。
オレとソーエンがこそこそ話し始めると、シアスタも合流してきた。
「どーするんですか?」
「さすがに殺すわけにはいかないからな」
「当たり前です…」
「ソーエンの武器は当たったら確実に殺しちまうから使用不可」
魔法銃は過充填のほうは覚えたが、手加減は覚えていなかったため使えない。
「イキョウの武器も同じだろ」
オレも手持ちの武器ではどこまで切ってしまうか分からないので、そんなものをいきなり人には使えない。
「じゃあ、どうやって戦うんですか」
シアスタがオロオロとし始めるが、大体の戦法はオレ達でさっき決めたので戦う分には問題はない。ただ、怒られる可能性があるのでそこが問題だった。
「シアスタ、アメ舐めるか?」
ただ見るのもつまらないだろうし、アメを舐めながらのほうがいいだろう。
「貰います」
オロオロとしていたシアスタはスパッと切り替えてアメはっきり貰うといってきた。
オレ達の勝ち負けよりもアメの方が魅力的なのか……。
「あのモヒカって人にも渡してあげて」
オレ達が話している間にシアスタの相手をしてもらっていたのでその御礼にと渡す。
「ありがとうございます。モヒカさんも甘いものが好きらしいのできっと喜びます」
あの人見た目とのギャップありすぎて脳みそ混乱しそうになるわ。
シアスタが戻った後、怒られたときにどうするかを話し合って、結局謝り倒すしかないと決まった。
話し合いが終わったことを伝えようと、キンスとフローの方へ向かう。
ちらほらとギャラリーがいるが、数えるほどしかいないのであまり気にするほどの事ではなかった。時間的にもう10時くらいだと思うので、ほとんどの冒険者はもうクエストへ出かけているのだろう。ギルド自体に人の活気をあまり感じない。
二人に準備ができたと伝え、ある程度距離をとってお互い構える。
キンスは拳をボクサーのように構え、フローは大斧を身体に引き寄せて寝せるような形で構えている。
オレ達? ソーエンは棒立ちでオレは腰に手を当てて体勢を低くしているだけ。
「構えない? ありゃ何かの作戦か?」
「…フメイ」
向こうの二人はオレ達のことを警戒しているようだった。
「いくよー!!」
ベンチの方からモヒカの声が聞こえてくる
「3、2、1、始め!!」
開始の合図が聞こえてきたが、両者動かず相手の出方を見る。
少しの間、沈黙が流れるが先に動き出したのはあちらだった。
「来ないならこっちから行くぞ!!」
キンスはオレ、フローはソーエンを狙いながら突っ込んでくる。
ここまで引っ張れば大丈夫だろう。
「<ロープバインド>」
オレはキンスを腰に準備していたロープとばして、速攻でぐるぐる巻きにして捕らえる。
はい、これにて終了。
「なんだこれ!?」
走った勢いにつられてキンスは地面に倒れこみ、じたばたしている。
フローがソーエンのところまで到着する前に試合を終わらせた。
「抜けらんねぇッ……!!」
キンスはギチギチと音を立てながら身をよじっているが、全く抜け出す気配はない。
ルール上は一人が行動不能か戦闘不能になったら負けとあるので勝ちはした。
問題は、戦士の誇りとか騎士道がある相手にこんな試合をしては言いがかりや文句を言われると思うから、この二人がそれを持っていないことを祈る。持ってんなら、持った上で許してくれるかどうかだった。良い奴等だからなぁ……あんまし怒らせたくは無いな。
「ヒキョウだ」
「ヒキョウ者」
数人のギャラリーが何か言っているが気にしない。
オレの職業は叛徒だ。真っ当な戦い方はハナから考えてなどいない。考えるべきはどう戦うかではなくどう勝つかだ。戦いに意味は見出さず、結果だけを見据えて必要なら逃走だってする。戦い方の価値を求めるのは戦闘職達だけでやってくれ。
「おい」
ぐるぐる巻きで倒れているキンスがオレに向かって何か言いたそうな声でオレのことを呼びつける。
やっぱりダメだったか?怒られたくないから謝り倒すか。
「やるじゃねぇか」
「んー。お?」
キンスはなぜだかオレを褒め始めた。
「フロー、俺達の負けだ!!」
キンスは大声でフローに勝負の結果を伝え、もう一度オレの方を向く。
キンスの顔に怒りという感情は見られなかった。
ソーエンとフローの方はキンスが捕らわれてから動きが無かったので勝敗を察していたのだろう。
「とりあえず、この縄を解いてくれ」
ロープバインドは結び目がなく、縄の端と端がくっつくようにして相手に巻きつくため、オレが解除するかか誰かが切るかしないと抜け出せなくなっている。他にも縄に耐久値が設定されていて、もがけばいつかは壊れるけど……今はそんなに時間をかける必要も無いので、解除して普通の縄に戻す。
自由になったキンスは立ち上がって、縄をオレに渡してくれた。
元のロープと巻きついている状態のときの長さが違うけど……まぁ、魔法だろう。奇妙なことは全て魔法と考えることにしよう。
「俺は嬢ちゃんを守る力が見たかった」
オレは受け取ったロープを輪っか状に巻いて腰のベルトに取り付ける。
「そしてお前は一瞬で俺を捕らえて見せた。戦うよりも確実に早く相手の足を止められるし逃げる時間も稼げる。稽古をつけるとか言ってた俺が恥ずかしくなっちまうくらいに惚れ惚れする力だ」
「オレ達ほとんど何もしなかったけどいいのか? ずるい手で勝ったし」
あっさりと負けを認めたうえにこんなに褒められると、後に何かあるんじゃないかと不安になってついつい聞いてしまう。
「あっちのにーちゃんが何もしなかったのはお前を信頼していたからだろ? お前だって力を示したし、とにかく負けは負けだ」
本当にこの人はすごい人だ。自分の考え方を押し付けるんじゃなくて、相手の考え方を尊重してくれる。
蛮族の見た目のせいで第一印象は悪いし、脳筋にしか見えないので話し合いの余地がないと思っていたが、今はお坊さんが道楽でコスプレしているようにしか見えない。心なしか後光も差している気がしてきた。
オレがキンスに絶賛されている間、ソーエン達はソーエン達で何か話しているようだった。
勝負はこれにて決着となり、全員がベンチに集まって今後の予定を教え合う。
平和の旗印はこれからギルドに頼まれ、昨日の森で起こったことについて調査に行くと言っていた。オレとソーエンは何も言えないので黙っておいた。
オレ達はパーティ登録と宿探しをすると伝えると、ギルドから少し離れているがオススメの宿を紹介してくれた。
昨日シアスタもオススメされたらしく今はそこに泊まっているらしい。初めての印象でオススメされても盗賊の塒かと勘違いしそうになるが、今はもうそんな疑いを向けるようなことはなかった。
モヒカはアメのお礼にとオススメのパンケーキ屋を教えてくれた。パンケーキ食べに行くんだ…。っていうかパンケーキあるんだ…。
平和の旗印はもうクエストに向かうようだったのでギルドの前までついていって見送りをした後、それぞれの行動を始める。
忙しい中オレ達に稽古をつけようとしてのか……。ありがたやありがたや。
オレとソーエンが二人して拝み、そしてこの場に向き直る。
「ソーエンはフローと何話してたんだ?」
無愛想なソーエンと無口なフローの会話がものすごく気になるわ。
「他愛ない話だ。良い奴だった」
それ以上は何も言わなかったがソーエンがそういうなんて珍しい。
モヒカはシアスタと遊んでくれたし、オレはキンスに認めて貰えたし、フローはソーエンが良い奴と言った。人格者の集まりじゃんあのパーティ。
「そういえばイキョウさんとソーエンさんの煙草ってなんか良い匂いがしますよね」
「急になに? シアスタお前喫煙者の素質あるよ」
平和の旗印が煙草は20になってからと言っていたのであげはしないが、もし20になってもシアスタが一緒にいたなら一箱くらい譲ってやるか。
「違います!!なんか安心する匂いみたいな? そんな匂いがするんです」
安心するにおいか、なんだろう。煙草だしお父さんの香り的なやつか?
「イキョウ、煙草のフレーバーテキスト」
なんだ?フレーバーテキスト? 煙草のテキストって何だったかな。
「たしか周りを落ち着かせる効果があり、煙に害は無い…とか書いてあったな」
「本当のフレーバーになったわけか」
ならシアスタの近くで吸っても問題ないのか。でもなあ、なんか子供の近くで吸うのに抵抗感があるんだよなぁ。なら禁煙しろという意見は吸うのは止められないのでパス。
「早く登録に行きましょう」
シアスタの中で煙草の話題は終わっていて、パーティ登録の話題になっていた。
どうしてそんな匂いがするのか気になったんじゃなくて、ただ良い匂いって言いたかっただけのようだ。
「はいはい」
シアスタが先陣を切ってギルドに入っていくのでオレ達はその後ろについていく。
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