ホットストラテジー (RD)

春嵐

ホットストラテジー

「待て」


 全体の動きを止める。


『止めたぞ。なぜだ』


 ありがたい。命令にはまず従い、そのうえで理由を訊いてくる。


「相手側に、こちらと同じ考え方をするやつがいる。正確に同じ戦略をとるやつが」


『ホットスポットストラテジーをか。おまえ以外にそんなことするやつがいてたまるか』


「だが、地形の集まりかたは間違いなくそうだ。戦闘領域中央がホットスポットになるぞ」


『戦術で勝てるか?』


「限りなくむずかしい」


 ホットストラテジーは、それ自体が独立したひとつの体系を自分の中に持つ戦略と戦術。ようするに、自分個人の技のようなものだった。それを相手も使うとなると、策そのものが持つ独自性と読まれない動きが同時に阻害される。


『時間稼ごうか?』


「そうだな。そうしてもらえると助かる。地形中央は避けてくれ」


『了解。中央を避けて搦め手から揺さぶる』


 もしかしたら。


「おい」


『ん?』


「なるべくダメージ無しで戻ってくれ」


『私がか?』


「うん」


『わかった』


 こいつの存在が、突破口になるかもしれない。ホットストラテジーに、こいつの安定した支援が加われば。

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ホットストラテジー (RD) 春嵐 @aiot3110

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