1話完結 無自覚で異常な愛

私は修道院しゅうどういん 麗羅れいら


私は好きな人のことをなんでも知っている。

小さい頃から一緒にいるし、常にそばに居てくれる。

好きな物、嫌いな物、身体的特徴、どんな服装が好みなのか、表情も全部全部、知り尽くしている。

だって、好きなのだから。当然、私と同じ想いをその人は抱いてくれていると確信している。


周りの人は、私達の関係を異常だと言わんばかりの目で見てくる。私の両親でさえ、すぐに離れさせようとする。そんなもの捨てなさいっていう。

なんで、捨てなきゃいけないの?と聞いても、

貴女のためだからと言ってくる。

皆は分かってくれない。けど、私はどうでもいいと思っている。

だって、これは私の恋なんだから。恋は自由なんだから。何に恋をしようとも…ね。


愛してしまったのだから、私だけを見てくれる人に、私だけのそばに居てくれる人に。

今日もまた、私の知ってる笑顔で、私を待ってくれている。けど、とっても恥ずかしがり屋なの。全く喋ってくれないの。でもそれでいい。

そこも可愛い所なんだから。私さえ見てくれれば、それでいい。


最近、所々に傷ができるようになった。

それを見る度に、私が優しく治してあげる。すごく献身的じゃない?と喋りかけても、笑顔を浮かべるだけ。

心無しか肯定してくれてるようにも見え、私は満足する。

甘えさせてあげたいから、抱きしめながら撫でてあげる。それでもいつも通りの笑顔。けど、私はそれで満足する。

話してくれないことが、もどかしいけれど私はそれでいいの。恥ずかしがり屋だって分かってるから。


今日は、お出かけの日だからおめかししていく。

ずっとこの日を楽しみにしてたの。

何日かぶりのデートだから。紳士的なスーツの格好をしているのに、いつもエスコートは私なのよ?酷いと思わない?と、言いながらもそんな所も好きなのだけどね、と思ってしまう。

やっぱり愛してるんだと再確認し、意気揚々とお出かけをする。


周りの人は奇妙なものを見るような目で見ているけれど、気にしていない。

私が気にするのはこの人の事のみなんだから。

そう言えば、服装はスーツ以外見たことなかったわ。今度選んであげようかしら…。もっとオシャレにしてあげたら、もっともっと、魅力的になると思うの。皆を魅了しちゃいそうね。ふふ、少し妬けちゃうわね。


さぁ、もう帰りましょう。寂しいけれど今日のデートは終わり、でもいつも一緒だから。あまり寂しくはならない。素敵でしょ?


次の日の朝にいつも通りの笑顔なその人はいなかった。

お母さんが捨てたと言ってた。

私はお母さんの声を無視して、探し始めた。


何時間も探した、探して探して探して探して探して探して探してようやく見つけた。


あぁ、ルーカスここにいたのね。

もう一緒、ずっと、ずーっと一緒。さぁ、もう眠りましょう。私達だけの世界に行くために。



私は貴方を愛しているのだから…。



『臨時ニュースです。今日未明、ゴミ処理場で、1人の少女の遺体が発見されました 。警察の話によると、その少女は人形を抱いて、眠るように、亡くなったとあり。警察は死因が何か引き続き調査をする模様です。次のニュースです--------。』

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