孤独な恋愛

1話完結 独りだけの恋


僕は見惚れていた……自分に。

あ、ヤバいやつだと思ってない?まぁたしかにそうなのかもしれないけど、露骨に避けないで、話を聞いてくれよ。


おかしいことだって分かってるんだ。

僕は女装した自分に恋をしてしまったんだから。

きっかけは、友達と勝負をして、罰ゲームで女装することになってしまったことから始まる。

僕はナルシストという訳じゃない。

別に自分が大好きって訳でもないから。


でも、女装した僕の姿は驚くほど綺麗だったんだ。

綺麗な長い黒髪に、ぷるんとしたピンク色の唇、緑のカラコンをつけ、ぱっちりとした目。

僕の理想がそのままそこにはあったんだ!

そんな女装した私にあろう事か僕は惚れてしまったんだ。


え?僕の名前?あ、、そうだったね。

じゃあまずは自己紹介をしようか。

僕の名前は霧風きりかぜ千聖ちさと

女装好きのただの男子高校生だよ。

そう、ただの高校生さ。ある一点を除いてはかもしれないけど…。

実はね、僕……って、え?その先は知ってるから言うなって?そう言わないでくれよ。


少しだけ言わせて?それでね、僕のこの姿どう思う?綺麗?気持ち悪い?色んなことを僕を見て感じるんじゃないかなって思う。


普通に人に言えないから。両親もこの事はしらない。知っているのは1人もいない。


僕だけしか知らない、僕だけのもの。

だから女装した私は僕だけが知っている女性ひと

僕だけしか知らないが故に、僕だけに全てを見せてくれる。笑った顔も怒った顔も困った顔も照れた顔も。全て僕にしか見せない。


これは真っ当な恋愛ではない。恋愛とは普通2人の男女が恋に落ちて、告白して、返事をして成り立つものって分かっているから。

でも、僕は違う。ある意味叶いそうで、ある意味叶わない恋。

だって、自分なんだから。

僕も私も霧風 千聖でしかないんだ。1人の僕が1人の私に恋をする。

周りには異常に見えても僕には普通の事なんだ。


そして僕はまた、私に女装いにするく。

鏡に映る私と手を繋ぐかの様に、手を合わす。

目を合わせ、額を鏡にあてる。目を閉じ、唇を交わす。

これは僕と私の秘密の時間。


これは霧風千聖の独りだけの恋だ。


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