進学

「いい学校だと思うよ。いい学校だった」

「そっか」

「校舎はきれいだし、制服もかわいい。先生は生徒に親身になってくれそう。受験対策もしっかりしてくれるみたい」

「うん」

「申し分ない」

「志望校にする?油断しなければ淳の成績なら入れる」

「でもね」

「うん」

「私にとって決して譲れないものがここにはなかった」

「え?」

「私は将来やりたいものが決まってる」

「そうなのか?」

「うん。夢に備えて、高校では部活で自分を徹底的に鍛えたい」

「そんなストイックな」

「夢ですから」

「何?一体。淳の夢って」

「・・・」

「何?」

「反対されてもやるよ」

「反対なんてしない。いや、ものによるけど」

「反対しないって、言ってほしい」

「本気」

「本気」

「じゃあ、反対しない」

「じゃ、教える」

「何?」

「私、競輪の選手になる。絶対譲らない。だから、自転車競技部のある高校に進学します」

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