トウキョウダルマガエル

「ね。お父さん、トウキョウダルマガエルだってさ」

「あはは」


私たちは水族館を出て、森を抜け、歩道橋に向かって歩いていた。公道を挟んで公園を二分する歩道橋を渡ると動物園だった。

観てきた水族館は淡水に生きる生き物たちを専門に飼育していた。私たちは水族館について話しながら歩いた。


「よかったよ。水族館、淳につまらないって言われなくて」

「え?なんで?楽しかったよ」

「そっか」

「タナゴ、メダカ、ゲンゴロウ、カメ。生き物はみんな楽しい」

「いい子に育った」

「そして、極めつけがトウキョウダルマガエル」

「それは名前が面白いだけだよね」

「そうじゃないよ。小さくてね、丸くて。目が賢そう」

「おお」

「お母さんみたい」

「ぶ」

「あ。お父さん、笑っちゃ駄目」

「ねえ。お母さんさ、トウキョウダルマガエルみたいって言われてどう思うかなあ」

「ふふふ」

「いくら似てるからって」

「あ。それは体形のことでしょ。駄目です。それを言っちゃ」

「淳も笑ってんじゃん」

「だって」


歩道橋を渡ると動物園の入り口。


「わあ。こじんまり。多摩動物園をミニチュアにした感じだね」

「うん。子供の時は、動物園と言えばここのことだった。中に遊園地もあるよ」

「まじ?」

「うん。入ろう」

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