第25話 予想外の新情報?
「「いってきます」」
翌日の朝。
俺と天音は通学のために家を出た。
すると、すぐ近くにある自販機の方から女の子の声が聞こえる。
昨日俺を襲って、その後天音の友達になった小動物系美少女・日七瀬さんだ。
「は……春彦さま。あ……あ……天音さま。おは……ようです……。です……」
「おはよう、日七瀬さん。……って、自販機の裏に隠れてなにをやってるんだ?」
「えっと……、その……。もしよろしければ、一緒に登校したくて……。でも私なんかがご自宅前に居たら迷惑と思い、自販機の陰に隠れてました」
「いや……、そこまで自分を卑下しなくても……」
日七瀬さんは戦闘モードに入ると暗殺者のような強さと冷静さを発揮するけど、日常では常にビクビク怯えている。
ちなみに天音から聞いた話だと、日七瀬さんは霧咲家専属のメイドのような仕事をしているらしい。
両親が霧咲家で働いているのだが、霧咲志保さんと同じ年齢のお世話係が欲しいという要望があったそうだ。
そこで、ちょうど同じ歳だった日七瀬さんが付き人のようなことをするようになったらしい。
「今日は霧咲さんと一緒じゃないんだな」
「登下校は自由なんです。それでも呼び出された時はついていきますが……」
「なるほどね」
「でも……私、幸せです」
日七瀬さんは立ち止まって、嬉しそうに両手で胸を押さえた。
まるで宝物が収まっている心を大切にするようなそのしぐさは、見ているだけでほっこりする。
「お嬢様は尊敬できる人ではありますが、友達という関係ではありませんでした。でも――」
顔を上げた日七瀬さんは、潤んだ瞳で天音を見た」
「今の私には、天音さまという大切な友達がいます」
「日七瀬ちゃん……」
昨日の話だと、日七瀬さんはずっと我慢をしてきたようだ。
だけど昨日初めて、天音や月野さんと友達になれて、彼女は新しいスタートを切ることができたのだろう。
そんな彼女を見て、天音は照れくさそうにはにかんだ。
だがここで……、日七瀬さんは余計なことを言い始める。
「そして未来の旦那様の春彦様の隣を歩くことができます。はぅわんっ! はずかしゅしゅーっ!!」
「日七瀬ちゃ~ん。ちょ~っと話をしようか」
「はうっ!?」
笑いながら怒る天音は、恐怖でプルプル震える日七瀬さんに詰め寄る。
「春彦は私のなの。昨日、あれだけ言ったでしょ」
「す……すみません……。つい……。願望がだだ漏れてしまいました!」
「諦めてはいないというわけね……」
「天音さまのことはもちろん応援していますが、私にもチャンスがあれば逃すつもりはありません。なので……」
素早く移動した日七瀬さんは俺の横に立ち、『ぴとっ』っと体をくっつけてきた。
「風が吹いたので、くっついちゃいました」
そんな風は吹いてない!!
当然この様子を見た天音は、ふくれっ面で抗議する。
「あっ! 日七瀬ちゃん! 私の前でそんなことを!!」
「風にあおられて、しかたなくなんです……。じ……事故です」
「風なんて吹いてないでしょ。それなら私も!」
負けじと天音も俺に身体をくっつけてきた。
だが、屋外でここまで大胆なことをするのは初めてだったので、天音の顔はみるみる赤くなっていく。
さらに半泣きになり、今度は天音がプルプルと震え出した。
「うぅぅぅうぅぅぅう~~~~~~っ!! 春彦ぉ~~~
! は……恥ずかしいよぉ~~~~!!」
「お前ら、本当に友達なのか……」
とりあえず二人には離れてもらい、普通に話ができるようにする。
天音が困りながらも笑顔で「もうこんなことしちゃダメよ」というと、日七瀬さんは、「はぅわわわ……。天音様、ごめんなさい。次はこっそりします」と反省した態度で返事をする。
うーん。このセリフから察するに、また何か起きるだろうな……。
あ、そうだ。
ちょうど日七瀬さんに聞きたいことがあったんだ。
「ところで教えて欲しいんだけど、俺の父さんって霧咲さんの父親と友人だったって本当なの?」
「はい、その通りです。純一郎さまは度々お屋敷に来て、お嬢様とお話することもあるくらいですよ」
「えっ!?」
アッサリ教えてくれたけど、俺はその内容に驚いた。
「父さんと霧咲志保さんが!? それって今の仕事の話で?」
「いえ。かなり以前から純一郎様はお屋敷に出入りしてますよ。……本当かどうかわかりませんが、親同士でお互いの子供を結婚させようって言っていたという噂が流れたことがあります」
ん? んんんんん!?
それってつまり、俺と霧咲志保さんが許嫁ってこと!?
じゃあ、俺達が付き合うのを反対していたのは……、まさか!? そういう事だったのか!!
えええぇぇぇぇ!?
■――あとがき――■
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