第3話 楽
部活を引退した後は、受験勉強に励み、第一志望の高校に合格した。
この高校もまた、中の上くらいのレベルの高校だった。
もう一つ上のレベルの高校もA判定だったが、「兄が通っていた高校だから嫌だ」と言い、この高校を受験した。
正直、高校なんて、どこでも良かった。
「確実に受かる」かつ「見劣りしない高校」なら、どこでも良かった。
部活は、テニス部に入った。
たまたま同じクラスの仲良くなった奴らが皆テニス部に入ると言っていたからだ。
理由は、それぞれで、「硬式テニスは高校生からやから、皆未経験みたいなもんやろ」なんて言う奴もいれば、「先輩に聞いたけど、顧問全く見に来んらしいよ?笑」なんて言う奴もいた。
俺も周りには、「足は怪我してるから、手を使う方がいいと思って」なんて言っていたが、本音は後者の理由に近い。
サボれるかどうかが重要だった。
部活には入るが、適度にサボることによって、下手な事や中途半端な成績、生徒会じゃない事への言い訳ができ、サッカー部に劣る華やかさも付け足すこともできると思ったからだ。
これによって、俺は「ちょっとチャラい奴」になることができた。
「ちょっとチャラい奴」は楽だった。
女の子と遊んでいても、根っこの真面目さや優しさを見せれば、「本当は、良い奴なんだね!」なんて言ってもらえるし、成績が平均点でも、「意外と頭いいんだね!」と好印象になっていた。
テニスが下手でも、「サボりまくってるしね」と運動神経の悪さを指摘される事は無かった。
この演出のおかで、高校でも
「文武両道。陽キャとも陰キャとも仲良しで、男子とも女子とも仲良しな俺」になることができた。
この時はまだ、演出なんて簡単だと思っていた。
全て自分の思い通りになると、自惚れていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます