最終話
「―――こと、
気が付いたら、
バックについてるキーホルダーもバックもそのまま。ふと隣を見て驚いた。
「!? おっ、お兄ちゃん!?」
「ん? あぁ…おはよう、
「なんで…っ、ばかあ、」 「! …ごめん」
乗った時はある程度いた電車の乗客は誰一人としておらず、外は暗い。お兄ちゃんが抱きしめてきて、今までの緊張が解れて涙が出てきた。
泣きたいわけじゃないのに、言いたいことは沢山あるのに…
あれから少しして、お互い話したかった事も話し合った。
お兄ちゃんはお願い事はしてないらしく、くっついてたら一緒に封印されたのは想定はしていたんだとか。
「まぁ、起きたら2人が仲良く寝てるから…2人とも無事でよかったよ」
「えっ、
「ちょっと何日たったのかとか知りたかったし、友達や両親に生存確認してたんだ」
そうのんびりと言う兄に、思わずため息がつく。…こっちは決死の覚悟で行ったのに…。結局、バッグの偶像はなくなってるし、
「そうも言ってらんないよ」 「え? なんで?」
「え? だって…今の状況、お兄さん無賃乗車と同じだし」
「「…あ」」
あの後、終電まで待って降り、駅員さんに無くしたと言ってわざわざ捜索してもらい、結局見つからずお金を払ってその場は凌げたが、家に帰るのが問題になった。
「…何駅過ぎてる?」 「…5か6」
「無理じゃん…もう10時なってるし…」
「
「あ、うん! 邪魔じゃなければ…」 「おっけー」
こうして、グダグダしつつこの件は終わりを迎えた。
私も優奈もお兄ちゃんもあの偶像との関わりはないし、後日あの神社に行けば偶像は置いてあった。
夏休みはそのまま過ぎていき、部員で遊びにいったときに皆に今回の事を話し、封印が解けるのはいつになるかわからないけど、あそこにはとりあえずもう行かないほうがいい、と言うことになった。
学校が始まってもいつも通りで、先輩達は出会うことが少なくなった。それでも、あの夏合宿の事があったから、ラインも残ってるし時々全員で遊んだ。
「…」
あの時お兄ちゃんを諦めなくてよかった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます