第5話
「…あれ? ここは…」
光に包まれたと思った瞬間、気が付いたら海辺にいた。
反対側は堤防で森の様な山になってるのはわかったが、こちら側は白い砂浜に青い空、キラキラと光る海はとても夏らしさがでていた。
「(…嘘だ)」
そよ風も波の音もあるが、夏らしい太陽の暑さもないし、まるで物語の中にでも入ってしまったかのような不自然さがあった。
まだ、アレから逃げきれてない。あの中にまだいるんだ。
「…
もしかしたら
「…? ……え、うそ、」
どれだけ歩いても変わらない景色に飽き飽きしてきた頃。
キラキラとする海に似合わない黒色が見え、違うと願いながらも走って近づいた。そこには、じゃばじゃばと海の中に入っていく
「なっ…! 何して、
声をかけても、
「(なんで…もしかして、声が聞こえてないの…??)」
「
「――と、な…」
「っ…! っ
追いつくと
「っみ…
「それはこっちのセリフだよ!! 何度呼び掛けても気づいてくれないし、
「え…?」
どこか呆けていた
「とりあえずあがるよ!」
掴んでる
少し経つと、無言でついてきていた
「ごめん、
「あ…お兄さんは?」 「もう助けたよ」
「え…どうやって?」
「チケットを一枚使ったの、私と
先ほどまで真面目だったから表情や顔に出にくかった
なんでだろ、
「そ、っか…」
「っはあ~やっとでれた…もお、何であんなとこいたの?」
「あー、これ」 「? あ、私の…」
「…でも、どうしよっか。ここから出る方法…」
砂浜に上がると、服装はやっぱり濡れてなくて。水の中では確実に濡れてた感覚がしてた分、奇妙な感覚だった。
「濡れてない…」 「現実の海じゃないんだと思う」
「なるほど? よかった~」
「どうしよっか、とりあえず歩く?」
いまだに少しボケっとしてる
「!? これ…夏合宿の時の…?」
「…なら、ここに手がかりがあるかも」
2人で階段に近づいて階段の上を見ると、見覚えのある神社があって。あの場所だと完全に理解したと同時に、ここから出る為の手がかりじゃないかと思った。
「…また、ここ登るのか…」
思わずつぶやいた言葉に、
「…大丈夫?」 「っえ?」
「いや…なんか、ボケっとしてたから」
「…あ、大丈夫…」
考えない様に振り向けば、綺麗な海と空を背景に、
なんか…めっちゃ可愛い…?? 言葉に出さないように再び階段を上り始めると、
「
「今度遊びいこー? 夏休みなのに今んとこ全然休んでないじゃん」
「あっははw、いいね! 部員でいこ!」
「えっ、やった~!」
真面目な雰囲気ではないが、いつも通りの緩い雰囲気で緊張がほぐれた。
意外と私も緊張してたらしくて、まあ夏祭りみたいな所や時間制限がありそうな駅のホーム等、気を抜いてたら危なかった所ばっかだったしなぁ、と思った。
「罠とか…何もなさそう?」
「…願い事するの待ってるとか?」
「! それまで閉じ込めるつもりなのかな?」 「さあ…」
階段を登れば、記憶通りの神社があって。あの偶像もあり、朝みた景色と同じ。
定番なら向かうまでに何かあるけど…と思って気を付けながら言うが、優奈の言葉に納得した。
「…ん~、これって壊していいのかな?」
「…わかんない、でもこれって封印されてる状態なんだよね? 封印が解けちゃうかもしれないし…危険じゃない?」
「あ~そういえば…なら、あの水晶は? あっいや、アレの世界だし消されてるか」
偶像の前でそう駄弁りながらも、私達の間には穏やかな空気が流れていた。
「…まあ、どっか持ってく?」 「んー…っ”!?」
「!? どっ、どうしたの?!」
私は触るのはダメと言われてたので
「…はは、やばあ…。…なんかさ、邪悪なのが封印されてるって言ったじゃん?」
「うん?」
「……封印が解けかけてるせいで、触れた所に何か変なのが付いてる感じがして…」
「大丈夫なの?」 「うん、
「…ねえ、何で私は触っちゃダメなの?」
余裕なさげに笑う
「いや…もしお兄さんが願い事してたら、血縁者だし…飲み込まれて消えちゃったりしそうで怖かったから」
「あ……そうだったんだ、お兄ちゃんに聞いとけばよかった」
そっか、ホラゲーとかって血縁者とかそういう系多いしね。なんだ…私が居なくならないかって思ってだったんだ…。…お兄ちゃんに聞いておけばよかった。
そう思ってると、なぜか突然周囲がふわっと光の拍子になっていく。
「へっ、うわっ!?!」 「っ!」
突然の事にさっき偶像触った時に離された手を掴むと、意識はなくなった。
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