第7話 カクレユメの禁忌
「あいつ一体何なんだよ。あれ、人間じゃないよな?」
息をようやく整えることができた僕は龍矢の肩をつかみ先ほどの女の子のことを問いかける。
「お、俺だって分かんないよ!何回もここにきているけどこんな事初めてだよ。」
恐怖しているのは龍矢も同じであった。先ほどまでは恐怖から取り乱して龍矢を問い詰めた僕だが今は少し冷静になれている。
目の前で自分よりも冷静でない人間を見ると自分は冷静になるということは本当のようだ。僕は先ほどから頭を抱え同様している龍矢をしり目に少しずつ落ち着きを取り戻している。
「よく思い出しなさいよ、こういう都市伝説にはやっちゃいけないこととか、そういうのがあるはずよ。カクレユメには関する話を全部思い出しなさいよ。」
いつもであればこのような類のものは一切信用いない真矢であるが今回は実際に見てしまったのだ。目で見てしまった以上、この手の話でも信じることにしたのだろう。
いつもなら絶対に聞かないカクレユメに関する話を今は龍矢に尋ねている。真矢の必死の形相に龍矢も真剣にカクレユメの話を思い出す。
しばらく目を瞑ってカクレユメの話を考えていると龍矢がカクレユメのルールの一つを思い出す。
「そうだ、思い出した。確かルールの一つにカクレユメを行い夢の世界に言ったら必ずかくれんぼを行わなければならないというものがあったはずだ。
もしも、日が沈むまでにかくれんぼを行わなければ夢の世界の住人である隠探(インタン)さんと強制的にかくれんぼが始まって捕まったやつは二度と夢の世界から出ることは許されず、永遠に隠探さんと遊び続けなければならない。」
ようやく冷静になってきた僕も龍矢の話に少し恐怖を覚えながらも自身の考えを述べた。
「つまり、さっきの女の子のようなものが隠探さんということなのか?」
「多分としか言えないけど、俺にはそれ以外考えられない。」
龍矢も現状の恐ろしさに気づいてしまったようだ。カクレユメのルールを破ってしまった今、自分たちは隠探さんと強制的にかくれんぼが始まってしまったのだと。
ここまでの話はすべて都市伝説通りなのだ。もしも、隠探さんに捕まってしまえば永遠にこの世界から抜け出すことはできず、遊び相手をしなければならないという話も本当の可能性が高い。
「翔君、そろそろ手を握るのをやめても大丈夫だよ。さっきは助けてくれてありがとうね。」
僕が隠探さんに関して考えていると由佳が僕に先ほどのお礼を告げてきた。しかしながら、彼女の話には一点だけ不自然なことがある。確かに、先ほど逃げるときは由佳の手を握って逃げていた。
しかしながら、ここで合流してからは既に手は握っておらず、僕の手は何もつかんでいない。
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