第5話 冒頭にもどる
そういうわけで、私は無事に家に帰る事ができた。
けれど、以前のように婚約者と付き合えなくなってしまったのだ。
その原因は分かっている。
だから私は手紙を書いて、出そうとした。
それは幼馴染への告白の手紙だ。
あの後、幼馴染の少年は、私の知らない女の人と付き合う事になったらしい。
付き合いの知らせと、お幸せにという内容が書かれた手紙がうちに届いた。
自覚した瞬間に終わる恋なんてひどすぎる。
私は目をはらしながら、その手紙を書き終えて、ポストに出しに行くことにした。
昔好きだったけれど、それはあくまでも過去の話。
そんな風にかいた。
そして、お互いに幸せになろう。
と。
けれど、家の玄関の前に婚約者の男性が立っていた。
彼は全てわかっていると言った顔だった。
婚約者は言う。
幼馴染の少年が誰とも付き合っていないという事を。
私の為に嘘をついているという事。
あの日、船のスタッフとして乗り込んでいたという事。
そしてそれは、私の事をあきらめるため、婚約者に頼み込んで得た仕事だったという事。
彼は言った。
「やっぱり君の心はずっと俺には向いていなかったんだな」と。
そして、私が持っていた手紙を破り捨てて、自分の口で気持ちを伝えるように促してきた。
彼は、出会った頃のような嫌味な成金少年のような口調で述べる。
貧乏な家に嫁ぐなんて先が知れている。
だから。
「真実の愛に目覚めたそうだな。なら好きな相手と一緒になって勝手に破滅でもなんでもしていればいいさ」
真実の愛に目覚めたそうだな。なら好きな相手と一緒になって勝手に破滅でもなんでもしていればいい。 仲仁へび(旧:離久) @howaito3032
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