第3話 親戚?



 これからは婚約者の事をだけを考えよう。


 そう思っているのに、なぜかあの少年の顔ばかり脳裏に思い浮かぶ。


 それで、婚約者には「体調がすぐれないのか?」


 だなんて気遣われてしまった。


 心配をかけるなんて、いけない女だ。


 これからは彼を支えていかなければならないのに。


 婚約者は思い出話をし始めた。


 初めて出会った時は、拳でなぐられたと苦笑される。


 その時は、彼が幼馴染を馬鹿にしたから。


 次に出会った時は、車ではねたおわびをお金で解決しようとしたら、札束を投げつけられたと。


 あの時は、謝罪よりも先のお金の話になったからむかついたのだ。


 幼馴染は一番最初に私の身を心配してくれたから、余計に。


 その後もあれこれと話が続けられる。


 けれどその思い出の多くで、彼の想い出も呼び起された。


 どうして今日に限ってこんななのだろう。


 きっとやけに幼馴染に似た従業員が、スタッフとして働いているせいだろう。


 何だろうあの男性、やけに似ている気がする。


 もしかして親戚とかだろうか。


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