第2話 玉の輿なのに
婚約者の親戚の人達が、婚約を祝うパーティーを船で行ってくれるらしい。
だから私は婚約者と共に、豪華客船に乗り込んだ。
その船はとても素晴らしかった。
食べ物はどれも芸術品のような見た目をしていたし、味も一級品。
船の施設は、プールにバーに、サウナに充実している。
飾り付けもキラキラ輝いていて、とてもロマンチック。
改めて、お金持ちである彼と婚約出来て良かったと思う。
玉の輿に必死になって、お金持ちを捕まえようとしていた今までの苦労がようやく実るのだ。
もう、雑草の炒め物や雑草スープを口にしなくていいのだ。
これからの人生はきっと幸せだろう。
けれど、私の脳裏によみがえるのは、幼馴染の少年の姿。
私と同じ貧乏な家で、食べられる雑草の良さについて語り合える貴重な仲間だった。
今の婚約者と同時期に、あの少年も私にプロポーズしてきたけれど、私は彼の手はとらなかった。
今、どうしているだろうか。
なんだか、先ほどまで高揚していた気分が急激に冷え切っていくような気がした。
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