ずっといじめられていた俺、努力に努力を重ね『無双する』―もう誰も信じないし、必要じゃない。俺が信じれるもの、それは『俺』だけだ―
真辺ケイ
第1話
俺―
「ぐっ」
お腹が蹴られる。
「ぐっ」
顔面を殴られる。
「ぐぁ」
体中を踏みつけられる。
痛い
痛い
痛い
痛い
全身が痛かった。
全身が悲鳴を上げていた。
今すぐにでもこの原因を排除するよう脳が警報を鳴らしていた。
でもそんなことできるわけもなかった。
「死ねっ。死ねっ。おら」
殴られて腫れている、痛々しいまぶたをわずかに開けると、暴言を吐きながら俺を殴り続けているクラスメイトの姿。
周りを見てみると俺の無様な姿を見て嘲笑している、またもやクラスメイト。
クラスメイト。
不思議なものだ。
同じクラスで学ぶ生徒であるはずが、こんなにも違いがうまでるなんて。
片や殴りいじめる側。
支配層
片や殴りいじめられる側。
被支配層
あるいは奴隷層といってもいいかもしれない。
そして俺はいじめられる側。
被支配層
だから、支配されるしかない。
そして、支配する側のご機嫌を常に伺って生きていかなければいけない。
いくらご機嫌を伺っていても、殴られることは確実だが。
では、その支配層と被支配層を分けるものはなにか?
考えたことはあるだろうか?
答えは簡単だった。
『力』
そう
力を持っているか否か
それで、支配するのかされるのかは決まってしまう。
そして俺には力がなかった。
残念なことに。
だから、今殴られいじめられているのだ。
「おらっ」
拳が頬に食い込む。
口の中はもう血だらけだ。
そしてこいつー葉山ケンーは力を持っていた。
理由はそれだけだった。
いつもの終着点に思考が行き着くと、体から完全に力を抜き、意識的に意識を手放した。
全身傷だらけで帰宅した俺を出迎えるものは誰もいない。
帰ってきても家に誰もいない。
そんなことは俺の中では当たり前のこと。
だから、インターホンも鳴らさずに持っている鍵でドアを開ける。
「今日はいつもにもまして殴られたな」
傷だらけの体に、砂だらけでところどころ破れかかっている服を見てつつぶやく。
俺はほとんど毎日クラス内での実質カーストトップである葉山ケンに暴力を振られいじめられていた。
しかし、特に今日はひどかった。
口や鼻から血が出ても、そんなこと気にしないとばかりに殴り続けられた。
何かあったのだろう。
服を脱いで再び現状を確かめる。
「…風呂に入るか」
風呂に入ることにした。
怪我の痛みを我慢しながら体を洗う……ということはなく、さもなにもないかのように普通に体を洗い、湯船に浸かる。
…もうなれたのだ。
長年毎日怪我をすれば流石に痛みにもなれる。
痛みがなくなったわけではないが、痛みを感じても苦しみがなくなった。そして、反応しなくなった。
湯船にはいると、傷口からすーっと血が出てきて、湯の中を広がっていく。
それさえも気にしずに、湯に使って疲れを癒やした俺は湯から上がることにした。
湯から上がりスッキリした俺は自室でノートを見ていた。
このノートは、ちょうどいじめられて少ししたころ、つまりこの世の全てに絶望し、一度精神が崩壊したときからずっとつけているものだ。
俺はそのノートのことを、『誰にも負けないためのノート』そう呼んでいた。
ずっといじめられていた俺、努力に努力を重ね『無双する』―もう誰も信じないし、必要じゃない。俺が信じれるもの、それは『俺』だけだ― 真辺ケイ @kei_kei
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ずっといじめられていた俺、努力に努力を重ね『無双する』―もう誰も信じないし、必要じゃない。俺が信じれるもの、それは『俺』だけだ―の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます