第21話 愛と性欲の戸惑い
呆然と横目でリーザ見ていたシオンはテーブルの下で脚を蹴られた。
痛て、と思ったらリーザが横目で睨みつける。
(あんまりぼーっとしてるんじゃないわよ)
リーザは目でそう言っていた。しかしその頬は少し赤みがさしていた。
シオンはそのままリーザの部屋で一泊した。その間に若い彼らは大いにその交歓を堪能していた。もちろんシオンは最初ほどには精力が続かなかったが、その器用で繊細な指使いや舌使いはリーザを大いに悦ばせたのである。
シオンもリーザもあまり認識していなかったが実は二人は極めて相性が良かった。元々暴行も同然に処女を散らしたリーザは愛どころか愛撫すらほとんど経験がない。その時のショックと生理前の高まりにより衝動的に男に抱かれる事しか知らない。
シオンの必死さを感じさせる愛撫は半ば可愛らしく、またふとした時に唐突に性感帯を刺激するので、愛おしさと驚きが相まってリーザをこの上なく悦ばせたのだ。
そして昨日お互いの用事で一旦別れ、夜にまたバー・オリオンに集まった時、シオンもリーザも恥ずかしくてまともに目を合わせられなかった。
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リーザは自分の意外な感情に戸惑っていた。別にシオンとこういう関係になったのを隠すつもりは全くなかったのだが、いざシオンと会うと恥ずかしくてとてもそんな事を仲間に言い出せなかった。
今すぐシオンの前から逃げだしたいという衝動と共に、部屋に戻ったらシオンが居てくれたらいいなという矛盾した状況を夢想して、一瞬自分に失笑しつつもその状況にうっとりとしてしまうリーザであった。
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シオンはシオンでリーザの事が頭から離れなかった。シオンは精力そのものは弱かったが、思春期の少年らしくリーザの美しい身体にどっぷりと溺れた。リオンと違うのは、美しくまた自分の愛撫で悦んでくれるリーザしか見えなくなっていた事である。
自分の指や舌や唇でリーザの嬌声が漏れるとぞくぞくしたし、またその感度のいい身体は美しさと淫靡さを兼ね揃えてシオンを強烈に刺激した。身体を重ね合わせればすぐに完敗してしまうところは自分でも情けなかったが。
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シオンは一旦リーザの部屋を出ると、チクカンを見せにフェリクスの事務所に向かおうとしたが、僅か一泊の間にニヶ月相当の精力を発散させた彼は眠気と体力の限界を感じ、まあ後ででいっかと思って自分の部屋に帰って眠っていたのである。
夕方頃にばたばたした騒々しさで目が覚めるとリオンが帰ってきていた。リオンからグループの全員が帰ってきた事を聞いたのでじゃあまあオリオン行こ。と思って身支度して向かったのである。チクカンの事も一応みんなに言っとこうと思ったのだ。
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