第17話 幼馴染みの学生力

 その夜、亮太は幼馴染みに電話をかけた。

 何度コール音が鳴っても彼女は出ない。改めてかけ直そうと思った時に綺麗な怜の声が鼓膜を揺らした。


「もしもし」

「悪い。忙しかったか?」


 20時のこの時間帯なら夕飯もお風呂も終えていると思っていたのだが、行動が遅かったのだろうか。


「いや、大丈夫だよ。友達と喋ってただけだから」

「へー」


 すでに夜遅く仲良く話す相手がいると知って少しだけ羨ましいと感じてしまった。


「で、何の用なの?」

「学内戦だよ。お前はどんなチームで出るつもりなのかなってな」

「あーその件ね。三人までは決まってるんだけど、あと一人どうしようかなあって悩んでる。私的にはサポートメンバーが欲しいところなんだけど、候補が二人いてね。亮はどうするの? F組だとメンバー集まらないんじゃない?」

「とりあえず一人は見つけたからあと三人くらいなんとかなるだろ」


 見栄を張ってしまった。まさか入学初日ですでに三人も集めているとは。素直にメンバーに入れてくれと言えばひと枠に入れたかもしれないのに。

 心の中で叫びながら後悔した。


「つーか、良く集まったな。初日なのに」

「推薦組とは春休みも会ってたからね。クラスの半分くらいとは仲良いよ。まあなんか敵視してくる男子もいるけど」


 学生力で圧倒的な敗北を味わった気がした。

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