第7話「雪合戦 猿山バージョン・転」

俺ってなんか悪いことした?


遅刻したり、罪のない人にかかと落としをくらわせたり、掃除当番の日を忘れたり…

結構してたわ。


とにかく、なぜに俺のバックがこんなにカラフルなのさ。


元々は大人っぽいシックな黒色だったのに。誰かが黄色に染めてくれたらしい。


有難迷惑ってこういう時に使うんだよね?


授業受けたり、友達と雑談したりする穏やかな雰囲気の教室が、サルが教室に乱入した後、好きなモン食ってそのまま逃亡した燦燦たる教室に見事に変身していて一周回って笑いたくなってきた。


この前代未聞の変貌ショーの立役者は勿論、茂と龍人だ。


教室をカラフルに染めているビワ君たちは窓から入ってきているっぽい。


「もう一個行くぞ!」


「きゃぁぁぁぁ!」


窓から茂の声が聞こえた。


「おい茂!」


「お、委員長のお出ましか?」


「こんなことやってると先生に怒られるぞ。」


「俺もそう思う」


「…言動の一致を求めるのですが?」


「俺も怒られると思ったんだが、先輩が


『下に落ちるなよ』


『後始末しっかりしろよ』


『やるなら最後までやれよ』


って誰も注意してなかったし大丈夫かな?って。」


最後の人が遠回しに注意しているのには気づいていなかったようだ。


「おい、茂、どうしたんだよ。」


「何もねーよ森山。」


うんうん。彼らはまだ投げ続けるようだな。


俺は「学級日誌」に書かれていたアンゼンな学校生活を送るための三大原則を思いだす。


・怒られそうなことはしない。


・みんなで助け合う*¹


・この学校に入学しない


*¹...怒られそうな人をかくまってね。という意味。


ここに書かれていることは、真実である。(三つめは書かない方が良かったかもしれない、とは思った。)


クルっと扉の方に回れ右すると、ウッキッキ言う鳴き声(声)を背に感じつつ教室を出た。


そのまま校庭に出る。俺以外にも避難している人は見受けられた。


そいつらと俺らは巻き添えを食らって怒られるのだろうか?


             ↓


           それは嫌だ 


             ↓


     俺らは偶然外にいたということにしよう!


というような話し合いをしながら、俺たちは歩いていた


「今日もいい天気だな…。」


空を見ながら俺はつぶやいた。




教室の前まで来ると、まだわちゃわちゃうきゃうきゃ声が聞こえたので、スルーして隣の組に避難した。


「なんか知らないやつが入ってきたぞー!」


「君リア充?」


「俺は隣の学級委員長の柏原悠人だ。怪しいものではない(ハズ)。そして、俺はリア充ではない。茂とは知りあいだ。」


茂の名を出した途端皆納得したような顔になって俺のことを椅子に座らせてくれた。


その間全員の顔が真顔で、静かだったのが気になったが。


ねぇ、茂からどんな話聞いてるの?茂にどういうイメージ持っているの?


俺が針のむしろに座っていると、先生が歩いているのが扉越しに見えた。


あっ、まずい。


次の瞬間には先生の怒声が壁越しにもリアルに伝わってきて、隣の空気が

氷点下273℃ぐらいになっているんだろーなーと容易に想像できた。


マイドン。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る