第6話「雪合戦 猿山バージョン・承」

…キーンコーンカーンコーンキーンコーンカーンコーン


何だようるさいな。人様が気持ちよく寝ているというのに。目覚まし時計の分際で生意気な!


力道山もびっくりのかかと落としを目覚まし時計めがけてしかけた。


しかし、この時の悠人は寝ぼけ眼である。


周りが見えてないのだ。


第一に、ここは家ではない。学校である。


よって、目覚まし時計など言うものは存在しないのである。


目覚まし時計めがけて振り落としたかかと落としは


―佐々木にあたったのだった。


不運なことに佐々木は靴紐を結んでいて、悠人の方を向いていた。


佐々木がその脅威に気が付いたときは時すでに遅し。


リングに突っ伏す佐々木。


悠人はゴングの音を聞いた気がしたのだった。


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「アントニオ君。きみの攻撃力は素晴らしいな。」


佐々木が保健室に運ばれたあと、早速龍人があおってきた。


「うるせえな」


「自分の責任は感じていないのですか!」


「どーでもいーじゃん」


「人を倒したのにどーでもいーですと!」


リポーターの真似をした龍人。はっきり言ってうざい。(茂がトイレに行っててよかった)


さすがに佐々木には申し訳ないと思っている。


しかし、龍人に謝る筋合いはない。


だが、こいつに口論で勝てるやつなど存在するのだろうか?


将来は野党の代表的な人物になれるだろう。


負ける戦はしない。これ常識。


普段なら最終手段≪仮寝者≫(名前はかっこいいが要は狸寝入り)を発動するのだが、俺たちは今教室の後ろにある手すりに座っているので、寝ることは出来ない。今ここで寝ると、俺の美しい顔面に傷がついてしまう。


ちなみに、この手すりを乗り越え、(というか腰までの高さしかないのだが)窓も乗り越えると


外に出ることが出来る。


どうやってこのロジカルモンスターから逃げようか。いっそのこと窓から突き落とすか。死なない程度に。などと考えているうちに、授業が始まった。


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三時間目は、音楽の時間であった。俺は音楽の授業が好きだ。


決して音楽が良い子守唄になるから、などといったイケナイ理由ではない。


人間、三時間も起きてからトイレに行かないという偉業は成し遂げられないので、おれはトイレにいって、クラスに帰った。


そのときにはもうその出来事は起こっていた。


季節外れの雪合戦―びわ投げ合戦である。


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