ひろし、宿敵と対決する
「おじいちゃん、すごーい!」
めぐが興奮気味に声を上げると、会場は一気に盛り上がった。
「「「わーーーー!」」」
『これは大型新人登場です! なんと、ひろしさんはプレイ時間たったの5時間!』
「「「おぉーーーー」」」
すると、空中の大型画面に表示されているプレイヤーがまた2人「脱落」になり、残り4人になった。
ひろしは慎重に残った建物のほうへ近づくと、建物の陰から剣を持ったプレイヤーが現れた。
それはなんと、昨日アクセサリーを100プクナで弁償しろと言ったデオリだった。
「うわっ敵!? ……って、なんだよ、昨日のじいさんじゃねぇか。悪いが死んでもらうぞ」
デオリは、この建物を崩したのがおじいさんだとは気づいておらず、剣を振りかぶっておじいさんに走り込んだ。
ダダダダダダダ!
それを見たおじいさんは慌ててポケットから石を取り出すと、大きく振りかぶって力いっぱい投げつけた。
シャァッ……ガン!
石は剣を吹き飛ばしてデオリの胸に当たり、デオリのHPは一気にゼロになった。
「え? なにこれ……。HPが……」
デオリはそう言い残すと消滅していった。
「「「わーーーー!」」」
『なんと、ひろしさんベスト3に入りました!』
アナウンスが流れると、ひろしは少し恥ずかしそうに頭をかいた。
すると急にイリューシュが声を上げた。
「ひろしさん、あぶない!」
ヒュン……、ザッ!
なんと、崩れた建物の陰から矢が放たれ、おじいさんの肩をかすめた。
しかし防御力ゼロのおじいさんはHPが一気にゼロになり、時計台の前にリスポーンした。
『おおっと! ひろしさん、どうしたんだぁー! めちゃくちゃ打たれ弱い! 残念ながら脱落です! 防御力あるのかぁ!? 』
おじいさんは時計台の前でそのアナウンスを聞くと「しまった」という顔で呟いた。
「あぁ、やられてしまったか……」
するとその時、めぐからボイスチャットが入った。
「おじいちゃん、聞こえる?」
「あ、はい、聞こえます。めぐちゃん、ごめんなさい。やられてしまいました……」
「ううん! おじいちゃん、とってもカッコよかったよ! 三位入賞おめでとう!」
「ははは。ありがとう、めぐちゃん」
「次はわたしの番だから、がんばるね」
「はい、応援していますね」
おじいさんたちが話していると再びアナウンスが流れた。
『試合終了ーーー! では結果発表になります!』
すると時計台の前にも表示されていた大画面に試合結果が表示された。
ーーーーーーーーーーーーー
ビギナークラス
優勝300点:てんてん
二位200点:ラインハルト
三位100点:ひろし
ーーーーーーーーーーーーー
パチパチパチパチ
会場に拍手が巻き起こった。
『では、次の試合。ミドルクラスの試合会場へ転移しますよ~! Go!』
するとミドルクラスのプレイヤーとベテランクラスのプレイヤーは試合会場へ転移した。
試合が終わったビギナークラスのプレイヤーたちは時計台にある大画面で中継を見守った。
『では、ミドルクラスの皆さん、試合の準備をしてください!』
アナウンスと共に、時計台の大画面の左には試合会場の中世の城、右にはプレイヤーたちの名前が表示された。
試合会場のめぐは、アイテムを確認して城の中へと走っていった。
◆
試合会場の準備が整い、ミドルクラスのプレイヤーたちが準備を終えると、会場にアナウンスが流れた。
『では準備ができたみたいなので、いってみましょうかぁ~! ミドルクラス、試合~開始っ!!』
タッ タッ タッ タッ タッ バタン!
めぐは城の中の大広間に入ると、そこに居た騎士たち2人と対面した。
すると騎士たち2人はお互いに
「2対1で悪いな、お嬢ちゃん!」
「恨むなよ!」
ババッ!
驚くめぐをあざ笑うかのように騎士の1人は走り込み、めぐに斬りかかった。
「お嬢ちゃん、覚悟!」
しかし、めぐはニヤリと笑うと意表をついてアイテムの「氷の壺」を投げつけ、騎士の足元を凍らせた。
キィー……ン
ガキッ!
「ぐっ……、ぐわっ! 足がぁっ!」
めぐは慌てる騎士に魔法の杖を向けると急いで雷の小呪文を唱えた。
「聖なる雷を司る者たちよ。あの者に裁きの雷を!」
パーン!
「ぐわぁぁ!!」
騎士は雷のダメージを食らって危機を感じると、慌てて剣で氷を割って逃げ出した。
「くそ、一旦退却だ!」
ズバッ!
「えっ? なっ! お、おまえ、裏切ったな!」
しかしその時、もう一人いた騎士が裏切って逃げようとした騎士を仕留めた。
「汚ねぇぞ!」
「何言ってるんだ、これはバトロワだぞ」
「くそ……、ぅ……」
裏切られた騎士はHPがゼロになって悔しそうに消滅していくと、仕留めた騎士は剣を構えながらめぐに言った。
「次はあなただ」
ガンッ!
しかしその時、突然横から武闘家が現れて騎士にハイキックを食らわせると、恐ろしい速さでパンチを連打した。
ガンガンガンガンガン!
「ぐわっ!」
騎士は意表を突かれて体勢を崩すと、それを見逃さなかっためぐはアイテムの毒の粉を投げつけた。
ブワッ!
騎士と武闘家は毒の霧に包まれ視界を失うと、めぐは素早く杖をかかげて雷の大呪文を唱えた。
「聖なる雷を司る者たちよ。我にその慈悲と慈愛を与えたまえ。清く正義の力をもって嘆願する。あの者たちに裁きの雷を!」
ガガーン!!
すると大きな稲妻が二人に落雷し、HPを失った騎士はそのまま消滅した。
しかし、残った武闘家はHPを減らしながらもファイティングポーズをとった。
それを見ためぐは武闘家を視界に捉えながら慎重に杖を構えると、武闘家はニヤリと笑ってめぐに飛び込んできた。
「でやぁああ!」
めぐは武闘家の攻撃に焦ることなく素早くしゃがむと、スカートの下から
ドッ!
「うっ!」
めぐの
すると武闘家は笑顔になってめぐに言った。
「ふっ、お見事。わたしの負けです」
ブゥゥンン……
武闘家はそう言うと、自ら脱落していった。
「「「わーーーー!」」」
この戦いの状況は大画面に映し出されていた。
『めぐさん! すばらしいアイテム使いです!』
大画面のめぐを見守るおじいさんは笑顔になると、皆と一緒に声を上げた。
◆
しばらくすると大画面には「脱落」の文字が目立つようになり、半数以上が脱落していた。
するとその時、中継の大画面がら大きな音がした。
ドガッ!
なんと、中継の大画面には吹き飛ばされるめぐが映し出されていた。
「うっ!」
吹き飛ばされためぐは急いで回復ドリンクを飲んで回復し、杖を構えて戦いに備えたが、騎士はすでに次の攻撃態勢に入りながらめぐに言った。
「おれさぁ、魔法とか嫌いなんだよね」
バッ!
それを聞いためぐは素早く距離を取り、急いで雷の小呪文を唱えた。
「なら、魔法を食らわせてあげる! 聖なる雷を司る者たちよ。あの者に裁きの雷を!」
パーン!
……。
しかし、めぐの魔法は騎士の
騎士はニヤリと笑うと、めぐに言った。
「は? なにこれ。攻撃? 弱っ」
騎士はそう言うと、ゆっくりと間合いを詰めてきた。
しかし、めぐは少し笑うと自信満々に言った。
「大丈夫。あなたは、わたしに勝てないよ」
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