第42話 愛咲の日記
4月20日
今日学校で王子様のような子にあった、困っている私の事を颯爽と助けてくれた、本当にかっこいい彼はなんていう名前なんだろう。
明らかに幼い子が書いた字があり、そこにはおそらく日記であろうものがごく短い文章で記されていた。
「これは、僕が愛咲と出会ったと日だ」
「記憶力いいんですね、っていうか常世くんめっちゃかっこよく書かれてますね」
「まあ、確かに忘れられない日だしな」
「何があったんですか?」
先輩は何も言わずに日記帳の次の文字を読み始める。
4月21日
王子様の事がどうしても知りたい、私を助けてくれたお礼がしたい。
でもどうやってお礼をしたらいいんだろう
4月22日
お母さんに聞いたら、お菓子を作ってあげると男の子は喜ぶらしい
今日からお菓子を作る練習をしようと思う
4月23日
今日は土曜日、朝からお母さんに頼んでお菓子作りを手伝ってもらう。
作ったものはあんまりおいしくない、でもあの人のために私は諦めずに頑張ろう!
4月24日
日曜日、明日になれば学校が始まったあの人に会えるかもしれない。
本当に明日が待ち遠しい、いつもは月曜日なんて来てほしくないのに。
4月25日
王子様の名前は常世圭というらしい、聞いているだけでうっとりとしてしまう名前。
名前までカッコいいなんてあの人には弱点がないんじゃないかしら、もっとあの人の事が知りたい。
「この純粋な乙女の日記って本当に天川先輩の物ですか?」
「分からない」
「だいぶ常世くん日記の持ち主に好かれてるみたいだけど」
「記憶にございません」
「逃げないでくださいよ」
笑いながら言う僕に対して、先輩は以外にも真剣そうな表情で何かを考えている様子だった。
4月26日
常世くんの事を見ていたら話しかけられた、どうしていいか分からなくて逃げちゃったけど変に思われてないかな。
変な子って思われちゃったら嫌だなあ。
4月27日
常世くんが女の子と遊んでいた、なんだかとっても羨ましい
ただ羨ましいだけじゃなくて胸の奥がなんだかモヤモヤした。なんで私じゃないんだろう
4月28日
常世くんとまた目が合い、逃げようとしたら捕まえられてしまった。
緊張している私にゆっくりと話しかけてくる彼はやっぱりカッコよかった。
最後にお友達になってくれるって言ってもらえたのが本当にうれしい、また明日も一緒に遊べるといいな。
「常世くん」
「なに?」
「俺本気で見ちゃいけない物見てる気がするんですけど、あと俺の知ってる天川先輩と常世くんじゃないんですけど」
「秀、頼む一緒に怒られてくれ」
必死に頼み込むその様子は日記に書かれた常世圭という人物と本当に同じなのだろうか、好奇心と罪悪感に挟まれながら僕は先輩と一緒に次のページをめくった。
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