第41話 男二人なら作戦会議
「せっかく泊りなんだし、パジャマに着替えたいわ、男二人は出ていきなさい、覗いてはダメよ」
「秀、愛咲ちゃんは今日は着替えの時は離れなきゃダメだって」
「凉、いつもは見てるみたいに言わないでくれ、それよりも凉は着替え持ってきてないんじゃないか?」
天川先輩の着替えは大柄の凉が借りるにしても小さすぎるし、いったいどうするつもりなんだろうか。
「さっき爺やに頼んで持ってきてもらった」
「爺やさん来てたのか、挨拶すればよかったな」
「ついでに秀の着替えも持ってきてもらった」
「なんで爺やさんが僕の部屋に入って着替えを取って来れるんだ?」
「私が鍵渡しておいた、爺やは信用できる」
僕自身が凉に一本鍵を渡した記憶は一切ないが、なぜか幼馴染パワーで持っていた鍵からまた合鍵でも作ったのだろう。
「まあいっか」
「じゃあ鷺ノ宮くん、僕たちは隣の部屋行こうか」
再び綺麗な廊下を歩き、隣の部屋に移動する。隣からの話声などは全く聞こえず、結構壁は厚いようだ。
「それにしても鷹河さんの家は本当に裕福なんだな、爺やなんて言葉初めて聞いたよ」
「そうっすね、幼馴染としてもビビっちゃいますよ。でも天川先輩の家も結構裕福層ですよね」
「あいつは親が共働きで仕事ばりばりって感じだからな、僕ですら彼女の両親にあまりあったことがないんだ」
「話は変わるが鷺ノ宮君このノート一緒に見てくれないか?」
「いいですよ」
雑談がひと段落した途端、昼間の天川先輩が作ったであろうクローゼットとノートについての作戦会議が始まる。
「一応前提として、先輩は天川先輩の事結構好きですよね」
「まあ、他の人間に比べたらな」
先輩は照れ隠しでそんなような表現をする。
あれだけいじめられても許して、怒るどころか時に喜びながらデレデレしている常世先輩が天川先輩の事を嫌いなわけじゃないよな。
「それで常世先輩は……」
「そうだ鷺ノ宮君、その常世先輩っていうのやめて大丈夫だぞ、君は礼儀正しいしフランクな呼び方でいいよ」
「ありがとうございます、でもなんて呼べばいいですか?」
「常世くんでも、圭くんでも、呼び捨てでも構わないよ」
「じゃあ常世くんで、せっかくなので常世くんも僕の事も名前で呼んでください」
「了解、それで秀は昼間のアレどう思う?」
「常世くんが天川先輩の事結構好きなら両思いでちょうどいいんじゃないですか?」
「うーん、ちょうどよくはないな、愛咲は多分僕の事をそこまで好きじゃないしな」
この人はどれだけ鈍感なのだろう、あれだけのことを見て天川先輩が自分を好きじゃないと本気で思っているのだろうか。
それとも照れ隠しでこんな表現をしているのか、どっちにしてもたちが悪い。
「ノートを見れば色々と分かるんじゃないですか?」
少しワクワクしながら先輩に提案してみる。
「じゃああけるぞ」
先輩は納得したような顔をして、ノートに手をかけて開き始めた。
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