第27話 僕の友達は本当に馬鹿らしい
「鷺ノ宮ちょっとこい」
学年主任の体育教師が僕の事を呼んだ。菊池のやろう、突っ走って裏切りやがったな。
「はい」
どうにも先生と廊下を歩くというのはどうにも気まずい、それが怒られる確率が高いとなると気分はより一層最悪だ。
怒られない淡い一途な期待にかけて祈るように廊下を歩き進める。
一歩ずつ無言で迫力を出している先生の後を追っていく。
一歩一歩先生が歩くごとに行き先が確定していく、この職員室の先にあるのは生徒指導室だけだ。
絶望が差し迫ってくる、会話の通じる先生ならまだいいが、相手は話の通じない先生ランキングno1の体育教師、ゴリラだ。何を言っても怒られるにきまっている。
案の定ついたのは生徒指導室だった。
「ガチャ」
ドアが開くとそこにはなぜか笑顔の菊池と神妙な面持ち対面に座っている担任の内田先生姿があった。
「鷺ノ宮君ちょっと座って」
担任の女の先生の指示に従い、菊池の隣に腰を下ろす。
「鷺ノ宮君は菊池君と仲良かったわよね、菊池君が今回やったことは知ってる?」
「何のことですか?」
出来るだけ自然なトーンで答える。
「菊池君が星崎さんの事をストーカーしたのよ」
「本当ですか?」
「俺はやってないぜ、だからお前に証人になってもらおうと呼んだんだ!」
こいつマジで余計なことしやがって、後で絶対飯奢らす。
「ちょっと菊池黙ってて、先生どういうことか教えてもらってもいいですか?」
「菊池君が星崎さんに何度も付きまとうような形で『困りごとはないですか?俺』とか、『俺カッコよく助けますよ』って何度もしつこく聞いていたらしいのよ」
どうやらクラスで聞いた話と全く同じ話だ、これ菊池が助かる道なんか一つも無いんじゃいか?
「先生何度も言ってますけど、事故なんですって、幼馴染作ろう計画してたらちょっと失敗しちゃっただけなんですって」
「だから何なのよその幼馴染作ろう計画って」
「鷺ノ宮と鷹河さんに協力してもらって、俺の究極の幼馴染を作る計画です!」
ああ、やっと分かった。こいつはネタでなく究極の馬鹿なのだ、一見普通に見えるが、頭を構成するネジが数本飛んでいるタイプだ。
「って、馬鹿なこと言ってるけど鷺ノ宮君本当なの?」
「まあ、菊池が幼馴染を羨ましいっていう話は聞きましたけど、具体的にアドバイスとか協力をしたわけじゃ」
「先生!こいつは嘘を付いています、僕が星崎さんに言ったセリフは鷹河さんが考えたものです」
こいつ、友人を売りやがった、いや馬鹿だから嘘を付いて庇うということが出来ないのか。
「鷺ノ宮君はともかく鷹河さんがそんなことするわけがないじゃない」
何も知らない教師陣からすると凉は輝かしい実績を持ったミステリアスで寡黙な優等生に見えているのだろう。
「菊池が言ってることは嘘じゃないですが、悪いのは確実に菊池です」
「そんな、酷いこと言うなよ親友」
「お前は馬鹿すぎて反省するまで親友クビだ、それよりも先生、僕だけでいいので星崎さんに会うことって可能ですか?」
「星崎さんに聞かないと分からないけれど、どうして?」
「一応菊池が何したか星崎さんからも聞いて、誤解がありそうなら解いておこうと思いまして…」
僕は全く思っていない申し訳ないという感情を必死に声色に演出して言う。
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