僕の芝生は青くない

第23話 ギャル耐性がないチキンな友人の話

「俺と幼馴染だって記憶を捏造してくれる美少女を探すのが一番早いか」

「夏木さんとかやってくれるんじゃないか、ノリいいし」

「夏木さんはダメだ、断られて気持ち悪がられたら俺のメンタルが完全に持たなくなる。」

　こいつ知り合ってから夏木さんの事が好きすぎやしないか。

「じゃあ他にあてはあるのか？」

「ギャルの星崎さんとか」

「それってどの子だっけ？」

　聞き覚えはあるが、それが誰なのか顔が一致してまだ覚えられていない。

「お前マジかよ、お前の世界もしかして鷹河さんと夏木さんしか女の子いないの？」

「そんなことは…」

　ないはずだ。たぶん。

「で、星崎さんってどの子なんだ？」

　少し小声で質問をしてみる。

「ほら、授業中いっつも誰かと話しかけられてる子いるじゃん、金髪で派手目の」

「ああ、あの子か」

　授業中の情景を思い返してみる、そういえば前の方の席でいつも誰かから話しかけられてる女の子がいた気がする。

「星崎さんも分からないってことはお前もしかしてそんなに人の名前覚えてない？」

「いや男子の顔と名前は多分全員覚えたぞ、女子は名前は分かるけど顔と一致してない」

「お前凄いな、なんで男子だけなんだ？もしかしてホモなのか？だとしたら鷹河さんにあれだけ言われても何もなってないの納得だわ」

「ちげえよ、女の子と話そうとすると、ほら、あの分かるだろ？」

「コミュ障ってことか？」

「凉が邪魔するんだよ」

「なんで？」

「秀に変な友達を作らせるわけにはいかないって」

「過保護過ぎだな、お前も破ればいいのに」

「俺のことはいいんだよ、お前は星崎さんと幼馴染ごっこしなくていいのか？」

「ちょっと緊張しちゃってな、ギャルってなんか怖いし」

　もしかしたら菊池は、僕たちのせいで怖い相手じゃなきゃ幼馴染にできないと勘違いしているのかもしれない。

「お前そんな距離感の子と幼馴染に慣れると思うのか？」

「でもやっぱ緊張するじゃん」

「幼馴染ってそんなもんじゃないだろ、気が付いたらそこにいるし頼って頼られてみたいなそんな存在なんだよ」

「流石幼馴染マスターは違うな」

　なんだその微妙にうれしくない称号は。

「結局お前そんな感じでギャルちゃんとどう仲良くなるつもりなんだ？」

「どうすりゃいいんだろうな」

「ノープランなのかよ」

「いいだろ、妄想くらいさせろよ」

「妄想は自由だが口に出すとなると気を付けた方がいいぞ」

「妄想を現実にしたいんだ」

「諦めろ」

「諦めたくない」

　菊池は強めの口調でそう言う。

「秀が手伝わないなら私が手伝う」

　唐突に話しかけてきたのは人物はドヤ顔でそんな案を出してきた。