第17話
「おまたせー」
「二人ともお帰り!早くいこうぜ」
「準備万端だね」
「やっぱ昼からお預けくらってたから、楽しみで楽しみで仕方がない」
「なんか遠足前の小学生みたいだな」
「小学生は酷くないか」
「似たようなもんだろ」
「言い争ってないで早くいこうよ~」
先に教室を出た夏木さんを追いかけてる、掃除が終わったばかりの放課後の校舎はまだそれなりに人がいる雰囲気を残していた。
一足先に外から二年三組の教室を眺めていた夏木が残念そうな顔をして戻ってくる。
「ダメだった~やっぱり簡単には見つからないのかな」
「ここまでくると、本当に七不思議さんがいるのか怪しくなってくるな?」
「なんか意図的に隠されてるみたいで燃えてきたぜ」
「なんで菊池なんかに隠すんだよ」
「なんかとは酷いな親友、俺みたいな才能にあふれた人間と七不思議さんが合うと、俺も七不思議の一員にされちゃうとか」
「それはないね!」
「二人とも辛らつだな、鷹河さんも何か言ってよ」
返事がない。
「あれ、凉ちゃんいなくない?」
「本当だ、鷹河さんどこ行ったんだ」
凉がいない。脳裏に不安が一気によぎる。
変なことに巻き込まれていないか。変な奴に目を付けられていないか。
鼓動が早くなり、目のレンズを極限まで絞り世界をより鮮明に見る。
見つからない。
「鷺ノ宮大丈夫か?」
うるさい。
「鷺ノ宮君?」
うるさい。
「秀、落ち着いて」
声を聴いて我に返る。
「凉どこ行ってたんだ、勝手にいなくならないでくれ」
「愛咲ちゃんに呼び止められてたの」
「天川先輩に?」
「愛咲ちゃんが私たちの部活に入って欲しいって」
「まあ何もないならよかった、心配したんだぞ」
「秀が私から目を離したのが悪い」
「二人は先輩に知り合い要るのか?」
「そうそう、今言った先輩はどう見たって小学生なのになんか不思議な雰囲気をもってて大人っぽい色々とアンバランスな先輩だ」
「ねぇ、その先輩が七不思議さんなんじゃないの?」
完全に盲点だった、明らかに高校生じゃない見た目のおじさま、おばさまだと思っていたが、菊池の話では明らかに高校生じゃない見た目と言っていた。
それがあの小学生みたいな見た目の天川先輩でも何ら不思議ではない。
「…そうかもしれない」
「鷺ノ宮お前何で知ってたのに言わないんだ」
「完全に認識から落ちてたんだよ」
「そんなことより、急げば今から七不思議さんに会えるってことじゃない、凉ちゃんその人に会った方向に案内して」
「うん」
凉はゆっくりと歩きだす、今度は目を離さないようにしっかりと見ていよう。
幼馴染の背中を見失わないように。
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