第15話 七不思議探しⅠ

 入学して数日経ち、何となく授業というものが始まり、それなりにグループというくくりが出来てきて、分からないことも手探りで高校生活を楽しんでいた。

「なんかこうみんなで昼休みにお弁当って高校生っぽいよね」

「ちょっとわかるな」

「これが青春か、話は変わるけどこの学校って七不思議的な奴あるらしいよ」

「へぇ菊池君誰から聞いたの?」

「まあ先輩からちょっとね」

「どんなのなんだ?」

「学園祭の後のキャンプファイヤーで結ばれるとなかなか離れないとか」

「学園祭っていつなの?」

「確か11月くらいって聞いたぜ」

「だいぶ遠いな」

「俺はそれまでに運命の相手を見つけるぜ」

「菊池君頑張ってね」

「誰もいなかったら夏木さん一緒に踊ってね」

「それは嫌だけど、応援はしてるよ」

「ドンマイ菊池、元気出せよ」

「三日間寝込むか」

 菊池は笑いながらいう、こいつは振られるどころか振られたことを絶対ネタにするタイプだ。

「それはそうと、七不思議の内残り六個ってなになの?」

「そうそう、現在進行形で目撃者がいるらしいんだけど、明らかに高校生じゃない生徒がいるらしい」

「そん人いるの!探しに行こうよ」

「まあそういう人もいるだろ、そんなに不思議がることないんじゃないか?」

 珍しくはあるが学びを必要とされていなかった時代の人が通い直したり、勉強したいと思った人が入学していてもさほど不思議ではない。

「いやいや、七不思議になってるってことはたぶん相当なレベルだぜ」

「というかその七不思議、語り継がれるものじゃなくないか」

「細かいことはいいの、みんなで探しに行こ!凉ちゃんも行くでしょ」

 無言だが存在感のある少女は首を縦に振った。

 こうなってしまったら仕方がない、彼女の決定したことは僕の意志ガン無視で遂行されることが確定しているからだ。

「それで菊池はその人がいるクラスとか知ってるのか?」

「知らないけど、自分の足で調査してこその七不思議じゃねぇか」

「菊池君の言う通り、ロマン求めようよ、凉ちゃんそうでしょ?」

「そう」

「凉、夏木さんは君を利用している」

「夏木はそんなことしない」

「そうだよ!私はそんなことしないよ」

 女というのはなぜ友達になっただけでこんなに信頼をして急に適当になるのだろうか、分からない。

「じゃあ四人でいくべ、鷺ノ宮は強制連行ってことで」

「人権無視か、それで七不思議さんは学年も分からないのか?」

「先輩の話だと同級生らしいから二年生だと思うぞ」

「入って一年足らずで七不思議入りってやるね!その先輩も」

 七不思議の先輩に失礼すぎやしないか、でも確かに一年足らずで後輩に話されて七不思議の一つにされるというその先輩に少しさっきよりも興味が湧いてきた。

「じゃあ今からみんなで行きますか!」

 菊池はまだ残ったお弁当を片付けながら意気揚々とそう言った。

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