第6話 仮病 窃盗 信用崩壊
入社から2ヶ月
限界に来ていた
甘えの権化かつスロット中毒の俺は仮病を使って会社を初めて休んだ
電話口の事務さんへ全力の演技で苦しさを伝えた
心配してくれる事務さん
勿論仮病なので本当は苦しくもない
俺の頭には上司に電話を繋ぐとだけは言わないでくれの願いしか無かった。
危惧した上司への電話繋ぎは流れで回避し
良かったと心からそう思った
俺の悪い部分がモロに出ている
とやかく追及してくる人との接点を持たないようにとりあえず逃げようとする
後日出勤したら必ず顔を合わせるのにこの場を逃げたいのだ。
事務さん『休んで下さいね』
優しい言葉に癒され、このまま電話が終わる流れに活力がメキメキと湧いて来た
本来なら仕事が始まるであろう時間に俺は自由なのだ
勿論さっそくパチンコ屋へ向けてチャリを漕ぐのである。
給料は安く、現在手持ちは2万6000円
全財産である、でもこれだけあれば何とかなる気がしていた
当時実家住まいの俺は家に毎月7万入れる約束をしていた、今月の7万はまだ入れてない、その状況下で全財産26000円である
もはや意味不明な状況だと思う
でもギャンブルで借金をしている人間にはこの状況をわかって貰えるような気がしている
コツコツなんて無理なタイプ
毎月貯金なんてしたことはない
給料日の25日前から、金が入るまで残り25日かとカウントダウンを始める人間だ
例えば給料日に支払うべき物を払って残金2万円少々となったとしよう
ここから30日どうやって生きるかを普通の人なら考えるかもしれないが、俺には綺麗に自由に使える二万円が目の前にある状況なのである
当時の俺は毎月このような状況だった。
話は戻りパチンコ屋での俺だが
夕方の4時
5号機は慣れない
あっさりと2万4000円やられた
2万円目を入れる時はまだ何とかなると思っていた気がしたが
財布から万券が消え残り6000円を刻みだした所で焦り始め、そして打つ手を一時停止したのが残り2000円の所だった。
給料日まで後28日、ふと考える
残り2000円と小銭が少々
ここまで追い詰められて初めてこの後どうしようかと考え始めるのだ
少し考えてわかるが、無理なのだ
残り28日を2000円で生き抜く事など
ここで普通の人なら
親に事情を話してお金を借り、節制して1ヶ月を乗り切り
その後、借りていたお金を少しづつでも返却していくだろう
しかし俺の行動は
残った2000円で回転寿司に行きビールと寿司を食べるであった。
今日で世界が滅亡するとわかっている人かのようである
ビールを飲みいい気分になった俺に明日からの現実など受け入れる枠などなく、とりあえず今のストレスから解放されたらいいと思った、思ったというより勝手にそうしていた。
明日の俺にふりかかる現実は
仮病を使って休んだ会社の仕事と恐ろしい上司に言い訳しなくてはならない現実
1日分溜まった仕事
家に入れるべき7万の請求にたいして残り60円くらいしか持っていない
給料日まで残り27日
少し酔いが冷めてきた僕は
会社の備品をパクって売ったらいくらになるかを考えていた。
ちなみにこのシリーズはノンフィクションです。
次回、借金への入り口
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます