僕の彼女は人気Vtuberでした

部屋は防音室が大半を占めている。

整理整頓がしてありまとまった印象を受ける。

唯一置いてある棚に色々なゲームやパソコンの周辺機器やコントローラー、ソフトなどが置いてある。

ゲームが好きなのは知っていたが、ここまでとは思わなかった。

この量はマニアレベルといっても過言ではないだろう。

ショックは何も受けてないどころかむしろもっと好きになった。

ゲーマー彼女なんてオタクの夢みたいなとこあるやろ。

ここからの選択肢は二つある。

一つはこのままそっとドアを閉めて、何見なかったことにする。

もう一つは防音室も覗いて見る。

自分の中で元から答えは出ていた。

ここまで来て引き返せる分けなくね。

そっとドアを開け防音室の中に入る。

中にはパソコン、机、モニター×3、ゲーミングキーボード、ゲーミングマウス、ゲーミングチェア、マイク、棚、その他。

うん。

これは確定でなのでは。

まだ、棚の中身見てない。

慌てるのはそれからだ。

心を落ち着かせ棚の一段目を見てみると、いわゆる配信機材が並んでいた。

焦るのは二段目と三段目を見てからにしよう。

二段目には、例の疑惑のVtuberのグッズ。

よく考えたら実は彼女は、例の疑惑のVtuberのファン説もある。

真似してましたなんて落ちもありえなくはないはず。

三段目は何やら大量の手紙が入っていた。

ちょっと怖くなるくらい大量に手紙が入っている。

きっと数百はあるのだろう。

どれもきちんと保存してあり、彼女の丁寧さが伝わる。

なぜか一枚だけ外に出ている手紙が有ったので、見てみることにした。

ここまで来たらもう何をしても変わらない理論を展開することに決めた。

もう知らね。

その手紙を手に取り宛名を見てみるとそこには、例の疑惑のVtuberの名前が書いてある。

ふーん。

慌てない、慌てない。

彼女が例の疑惑のVtuberへ宛てた手紙かもしれない。

なので中の紙を取り出し読んでみることにした。

最初からそのつもりだったけど。


「こんにちは!

進撃のパクチーだよ。

いつもTwitterとかYouTubeでコメントしてるけど覚えてくれてるかな?


こないだの耐久配信はだいぶお疲れのようだったけど、良く寝れた?

耐久配信はほどほどにしないと、体壊しちゃうからね。

実は最近………。」


手紙の中はこんなのだった。

最後までざっとめは通したけど、ずっとこんな感じだった。

これは完全に彼女が描いたわけない。

この手紙を持ってる時点で認めなくてはならない。


「僕の彼女は人気Vtuberでした」


ここまで来たら認めざるを得ない。

そもそも、薄々分かってたから少しは気持ちの整理はついていた。

でも実際に本当の事だと分かると心にくるものがある。

知ってしまった事を彼女に正直に話すのが正解なのだろうか?

内緒にしておいて時がきたときに話すのが良いのか?

僕にはわからない。

とりあえずは話すべきではない気がする。

なんか嫌われる気もするし、隠していることの可能性はとても高い。

そっと手紙を元の場所に戻し部屋の出てドアを閉めてリビングへ戻った。



リビングに戻りしばらくソファーに座りぼーっとしていた。

やはり正直に話すべきなのかも知れない。

きっとこのまま考えていても一生結論は出ないだろう。


「ガチャガチャ」


玄関の方から音が聞こえてきた。

ああ、きっと彼女が帰ってきたのだろう。

まだ結論は出ていない。

僕は彼女にどんな顔をして会えば良いのだろうか。

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