もしかして、僕の彼女vtuberだったりする?

彼女は買い物に出かけ僕は一人、彼女の家に取り残された。

彼女も部屋を見てもいいと言っていたので、いろいろ見てみることにした。

が、色々問題が出てきた。

一番最初の問題は、部屋の定義がわからない問題だ。

リビングや寝室のことはもちろん部屋と呼ぶ。

それに加えマンションの号室、101なども部屋と呼ぶ。

つまり、彼女がリビングを色々見ること許可したのか、ほかの部屋も含めた家全体を見ることを許可したのか、わからないということだ。

あのいい方的には、リビングのことである可能性の方が高そうだ。けど、彼女には疑惑があり僕はその真相を知りたい。

いくら付き合っているからといって、部屋を勝手に見たりするのはよくないと僕は思っていた。

でも解釈の仕方次第では何の問題もなく確かめることが出きるのだ。

もしかしたら、こんなチャンスは一生ないかもしれない。

そう考えると僕の心はよくない方向に突き動かされる。

まあとりあえずリビングは絶対に見ていいことが、確定しているので見てみることにしよう。

それなら100%許されるはずだ。

まずは部屋で1番目目立つものを見るのがいいだろう。

リビングをぐるっと見渡し一番最初に目についたのは、特に何もない。

どういうことかこのリビングはとにかくシンプルなのだ。

イメージ的にはモデルルームだと思う。

高級そうな家具は沢山置いてあるが、趣味のものなどの生活感があるものが見当たらない。

この部屋をいくら見たところで何も彼女のことはわからないだろう。


……他の部屋も見よう。


僕は本当は彼女の事を知りたいだけだし仕方がないよね。

しかもまだこの家の全体像がつかめていない。

この家の見取り図くらいは頭に入れたいところだ。

流石に家をくまなく見るのはいくら優しい彼女でも許してくれないだろう。

だから今日はざっと見てみるくらいにしよう。

そうと決まれば早速、廊下に出よう。

何度見ても圧倒される。

廊下もすごい豪華だなぁ。

家は全体的に綺麗で無駄なものや生活感がある物は全くと言っていいほどない。

廊下に出ると他の部屋のドアはしっかりと閉まっていた。

もし空いてたら覗いてみようと思っていたが、流石に閉まっているドアを開けるのはよくない。

でも、一番奥のドアは他の扉と違い開いていた。

もしかしたら締め忘れたのかもしれない。

自分の目で締め忘れかどうか判断して、閉め忘れの場合はしっかりと閉めてあげることにした。

これは優しさなので、怒られないはず。

ドアに近づきちょっとだけ中を見てみると、部屋の中に部屋が有った。

よくよく見るとそれは、部屋ではなく多分防音室だ。

扉は無駄に分厚い上にエアコンのホースのようなものが出ている。

この箱は防音室と見て間違いはないだろう。

それにしてもなぜ防音室などあるのだろうか。

こんなに高級マンションだから壁も相当分厚いだろう。

防音室なんて普通の人には無縁なものだ。

可能性としては何かの楽器を弾く、大きな声を出す、静かな場所が好きくらいだろう。

しばらく間その場で立ち止まり考えていると、とても納得する疑惑湧いてきた。


「もしかして、僕の彼女vtuberだったりする?」


ま、まさかね。

ただ棒有名vtuberの声が彼女に似ていて、彼女はなぜかタワマンに住んでいて部屋に防音室が有っただけだし。

うん。

そう自分に言い聞かせそっと部屋に入った。

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