いざ、彼女の家へ

なんか久しぶりに外に出た気がする。

最近は忙しいのもあって運動不足が深刻化している。

これからは散歩でもして少しくらいは運動不足を解消しようか。

そんな事を考えながら歩いていると駅に着いた。

改札の上に設置されている電光掲示板を確認してみる。

次の電車は20時16分今の時間は20時15分つまり後1分。

これはまずい。

急いで改札にスマホをかざし、急いで階段を駆け降りる。

ホームには既に電車が停まっている。

「間も無く一番線発車いたします」

アナウンスが聞こえてきたので飛び乗った。

ふう、ギリギリセーフ。

席空いてるやん。

流れるように座りスマホを開き配信の続きを見ることにした。

やはり何度聞いても、もう彼女の声にしか聞こえない。

もしかしたら本当に彼女かもしれない。

常識的に考えればあり得るわけがないのだが。


「次は品川、品川です。」


おっともう次の駅は乗り換え駅だ。

ここは乗り換えに集中しよう乗り換えをミスると、めちゃくちゃめんどくさい。

正直たまにやってしまう。

そもそも駅が複雑すぎるの同じホームに違う路線が来たりもする。

しかもAやらBやら北やら南やらややこしすぎる。

なんだかんだ少し間違いそうになりながらも、無事に次のホームに着いた。

電光掲示板を確認すると次の電車まで残り1分。

ナイスタイミングだが、ゆっくりする時間がないのは悲しい。


「間も無く2番線に列車が参ります。危ないですから黄色い点字ブロックまでお下がりください。」


今の時間帯的に帰宅ラッシュとは重ならないのでそこまで混んでいないだろう。

ドアが開いて中に入るとやはり予想通り、満員電車ほどではないがそこそこの人がいる。

本当は席が空いていれば良かったが空いていなかったので、ドアの横の手すりに寄り掛かることにした。

窓から外を眺めるとビルに明かりが灯りとても綺麗だ。

久しぶりに乗ると電車の揺れも心地いい。

イヤホンを付け、音楽を聞くとなんかめちゃエモい。

音楽を聞きながらしばらくウトウトしていた。

気づくと次は二回目の乗り換え駅だ。

危なく乗り過ごすところだった。


さっき乗り換えをしたので、無事に次の電車に乗り換えることができた。

今度はそんなに混んでいない。

ふぅ、ようやく席に座れる。

音楽を聞きながらウトウトていると、意外に直ぐに到着した。

電車でウトウトするのも、なかなかいいものだなぁ。

そう思うのは毎日乗ってないからだろう。

きっと満員電車に毎日揺られていたら絶対に、こんな感情にはならないだろう。

そんな事を考えていたら、駅に着いた。

本当は温かい飲み物でも飲んでゆっくりしたいところだが、そのまま真っ直ぐ改札に向うことにしよう。

改札から出たので、一旦彼女に連絡を入れることにした。



「駅に着いたよ!」

電話をするのは迷惑になったりしそうだから、メーセージにしておくことにした。

気づかれない可能性もある。

だが、それはそれで別に問題はない。

こういうのは気持ちの問題なのだ。

寒いし、飲み物を買いそろそろ行こうか。

そんなことを思いながらボーッとしていたらスマホが鳴った。

誰からの着信か確認すると、彼女からだった。

「もしもし」

「あ、もしもし」

「ごめんね急に電話しちゃって」

「全然大丈夫だよ」

「それは良かった。駅ごちゃごちゃしてて分かりにくいでしょ」

「まあ、色々出口があって少し分かりにくいかな」

「だよね。だから私が迎えにいくよ」

「いやいや、大丈夫だよ。俺一人でも全然いけるよ」

「絶対分かりにくいから迎えに行くよ。だから少し改札の前で待ってて」

「分かったじゃあ待ってる」

「急いでいくね」

「ゆっくりでいいから気を付けてきてね」

「ありがとう」



わざわざ来てくれなくてもいいのに。

来てくれるのは嬉しいけどね。

寒いのでとりあえずコンビニに行こう。

コンビニ入るとやはり暖かい。

ホットコーナーに行くとほっとレモンがあった。

やっぱり冬はこれだよな。

会計を済ませ元々居た改札の前の、柱の下に戻った。

しばらく、飲み物を飲みながらスマホをいじっていた。


「わあッ‼」

「うああああああ」

「びっくりした?」

「そりゃあびっくりするよ」

「へへへ、それは良かった」


そう言いながら、彼女はニヤニヤ笑っている。


「それじゃあ、行こっか」

「うん」

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