第9話 梨菜の恋心

すっかり元気になった梨奈。


両親は不思議で仕方なかった。あの日、梨菜に起きた事は夢だったのだろうか?


梨菜母「ねぇ、梨菜。」


梨菜「なあに?」


梨菜母「あなた、祐一君から、お家の事や、祐一君自身について、何か知ってたの?」


梨菜「知らないわ。何も。でも、祐一さんが居てくれたから、私救かったのよね。。。あの時、自分じゃない人が確かに居たんだもの。」


母に恐くなかったのか?と尋ねられ、梨菜は全く恐くなかったと答えた。祐一がいた事で、何も恐くなかったのだ。


二人はやがて、中学を卒業し、同じ高校へと進学する。


同じクラスにもなり、益々莉菜は祐一に惹かれていく。


ただ、莉菜はかなり男子からモテていた。それを祐一も知りつつ、霊的にまた、何事もないかを常に目を光らせていたのだった。


「なぁ、今井、頼みがさ、あるんだよ。」


一人のクラスメイトが祐一に話しかけてきた。


「今井は持田さんと幼なじみなんだろ。」


持田とは、持田莉菜のことだ。


祐一「そうだけど。なに?」


「だからさ、持田さんと話せるように取り持ってほしいんだ。」


祐一「なんで?自分で、話せばいいじゃないか?」


「いや、、その、、なんだ、、俺さ、持田さん、いいなぁ。って思っててさ。」


(つまりは梨菜と仲良くなり、うまく行けば付き合いたいと?)


その考えが見え、祐一はきっぱりと断る。


祐一「断る。それから、梨菜に変な気を起こすと俺が許さん!」


睨むように、祐一が言うと、怯み、立ち去った。


「な、なんだ?あいつ!持田さんのなんなんだ?彼氏なのか?」


ブツブツ言いながら、席に戻っていった。


祐一は、間違っても梨菜の「彼氏」ではない。。。ただ、(梨菜を守りたい。)そう、思っていた。その自分の想いが、梨菜を「愛する」に結びつかずにはいたのだ。


一方莉菜は自分の中にある祐一に対する想いは、完全な「恋」だと、知っていた。


祐一を見るだけでドキドキ💗

側にいると安心。

ずっと一緒にいたい。


そんな気持ちを抱いていた。


そんな、莉菜はまさか自分がモテるなど、知る由もなくだ。


梨菜にクラスメイトが話しかける。


「持田さんって、彼氏いる?」


莉菜は慌てて、「い、いないよ。」


「そうなの?よかった!今度ね、持田さんに会わせて欲しいって言ってる男子がいてね、私の友達なんだけど、会ってあげてくれないかな?」


そのクラスメイトが最後まで話すや否や間髪入れずに声がした。


「だめだ!断る!」


祐一だった。。。


何処から聞いていたのか?いつの間にかそのクラスメイトの真後ろに立ち、真っ向から睨みつけていた。


クラスメイト「な、なんで、今井が言うわけ?」


祐一「莉菜は断るのが苦手だからな、代わりに俺が言ってやった。」


「いや、おかしいでしょ、今井、あんた、持田さんの彼氏?」


莉菜はハラハラしながら、見ている。


祐一「まだ、彼氏ではない!これから彼氏になる予定だ!、、それが、なにか?」


至って、冷静な祐一に周りはあ然とする。。。


「ねぇ、今井、あんたさ、変り者だとは思ってたけどさ、いくらなんでも、それはないんじゃないの?持田さんの気持ちだってあるでしょ?」


祐一「梨菜を守れるのは俺だけだ。だから、他の男なんて、梨菜を任せられん!」


クラス中が益々あっけにとられていた。


なんなんだか、よくわからない、会話が続き、梨菜が口を開く。


「あのう、、、ねっ、、け、けんかしないでね、、、ね、、」


クラスメイト「ちょっと!持田さんは今井の事好きなの?、、、ちょっと!今井!、、あんたは?、、持田さんの事好きなわけ?、、、どうなの!?」


いきなりの質問に莉菜は、引っ込んでしまう。


が!、、、祐一はきっぱりと言う。


「莉菜は、、今から、、たった今から、俺の彼女だ!、、誰にもやらん!」


「キャーッ!!」


周りの女子が騒ぎ出す。


「持田さん!凄い!、、、」


「いいなー!私も言ってもらいたーい!」


と言うわけで、なんだかよくわからないまま、祐一と梨菜はちょっと変わったカップルとなり、変り者の祐一は、


「今井の彼女に手を出すな!」と言うお振れがクラスだけに留まらず、学年中に広まるのだった。



そして、祐一はその日の帰り道、梨菜に話す。


「梨菜。俺は知っての通り、普通の人間ぽくない。見えない者と闘い役目もある。普通じゃない事は自分でもわかってる。でも、梨菜を守りたい。これからもずっと。。。俺とこれからも、一緒にいてくれないか。」


梨菜は真っ赤になりながら、嬉しくて泣いていた。


そして、ただ一言祐一に向けて


「好きです。。。」


祐一は梨菜を抱きしめて


「ありがとう。。。


  愛してる。。。」



さぁ、二人の気持ちが繋がると、もう、もたもたしていられない、


祐一は、すぐに行動に移す。。。


梨菜を連れてまず、梨菜の両親に会いにいき、


両親を前に祐一は


「将来、梨菜さんと一緒にならせてください。」


いきなりの申し出に両親は驚くが、梨菜の父は梨菜に言葉をかけようとするも、梨菜の表情を見て、娘がどんな気持ちなのかが、直ぐに察する。


「いつかこんな日が来るかなとは、思ってはいたよ。


ただ、かなり、早かったけどな。。


梨菜を頼むよ。。。祐一くん。。」



こうして、二人は公認の許嫁となったのだ。


勿論、祐一の両親も大賛成だった事は言うまでもない。。。。


梨菜「祐一さん。。。」


祐一「梨菜。。。」



幸せ。。。。二人はそんな幸せ感満喫させていた。。。。






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