第5話 今井家と龍神
花音の様子が安定し、花音自身、楽になった頃、身体の上にいた龍神は退いた。
葵は、嬉しそうに龍神である、父に礼を言うと花音の側に寄り添う。
葵「花音、、、大丈夫か?。。楽になったか?」
心配そうに花音の顔を見ると、花音は微笑み、葵にお礼を言った。
さて、この事態が全く飲み込めないのは花音の両親だ。
一体なぜ?娘に龍がいるのか?
そして、なぜ?龍神までも連れてきているのか?
龍神が先に口を出す。
「そなた達は、一見したところ、只の人間ではないと。」
両親は顔を見合わせる。。
父「はい。。。如何にも。私達は人間であり、表では普通の人としての暮らしをしておりますが、裏では、邪悪な者、闇に潜めし者を天に還す事を役目とする、一族でございます。」
龍神「やはりな。。最近息子の様子がおかしいと調べていたところだった。私の息子である、葵はまだ、そのような世界を知らぬ身。そちらのお嬢さんの身に何が起こっているのかも、理解しておらぬ。息子が、側にいたのでは、さぞかし、ご迷惑と言うもの。今後は近づかないよう、指導しておく。」
父の言葉を聞き、悲しくなる葵。もう、花音と会ってはいけないのか?せっかく友達になれたと言うのに。。。
泣きそうになる葵をよそに、龍神は言葉をかける。
「さぁ、帰るぞ。」
葵はもちろん、花音もまた、胸が痛む。もう少し一緒に。。。
その時、「お待ち下さい!」
花音の部屋に入ってきたのは祐一だった。何かを察し、帰ってきたのだ。
両親をよそに祐一は龍神の前に座り敬意をはらい、話はじめた。
祐一「龍神様。お待ち下さい。妹とその幼き龍を離れさせないで頂きたく。」
龍神「なに?。。。その理由は。。」
祐一「はい。妹の様子から、そちらの龍様は只の関わり、仲ではないかと。そのように思われます。。。
妹は、お分かりの通り、普通の人間が見えないはずの者が見える為に、学校などでは、不自由なのではないかと兄ながら、心配しております。ですから、友達も出来にくいかと。しかし、一見したところ、そちらの龍様とは、心を通わせているように思われます為、どうか、龍様を妹の側にいる事をお許し頂きたいのです。」
龍神「私も神でありながら、また子の親である。我が子を危険な所へなど、行かせられるはずもなく。。すまない。。」
龍神がそう、言い終えると、花音の方より、声がする。
「ならば、私がこの龍、諸共みよう。」
姿を表したのは侍の姿をした者だった。
「こほん。。」軽く咳払いし、ニコニコな表情のこの男。
「あっ!今、神でも出て来たと思いましたね(^^)」
龍神「いや、そのようには思わぬ。」
「申し遅れましたが。私はこの一族の長をしています。慎太郎と申します。」
軽く自己紹介を済ませると、慎太郎は龍神の前に来ると、敬意をはらい、
「私が、こちらの龍様もお守りいたしますゆえ、どうかお許しくださいますよう。。。」
慎太郎は、花音達にも言葉をかける。
「ほら、君たちもお願して。」
促され、お願いした。
龍神は承諾した。ただ、龍神自ら見守るとしたのだった。
慎太郎「花音、よかったね。お許しもらえたよ。」
慎太郎は花音と葵を見て微笑む。
花音の両親、兄の祐一は頭を下げお礼を言う。
龍神「では、我はこれにて。葵、お嬢さんをよく、見てあげなさい。」
龍神は、そう言い残すとその場から消えた。。。
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