第2話 僕が見えるの?
子供にじっと見られ、どうしていいかわからない葵。
子供も何も言わない。勿論、葵も何も言えない。。。只々、この状況に冷や冷やしていた。
それもそのはず、葵は父である、龍神に言われてたから。
龍神「いいかい、葵。人間からは我々は決して見えない。人間の世界に行き、葵が見るのはいいが、人間を驚かせてはいけないよ。見えない人間の中でも、まれに、見える者もいるからね。」
葵「見える人間。。。?」
龍神「そうだ。こちらの世界が見える人間もいるんだよ。ごく、わずかだけどね。だから、驚かせてはいけないよ。。わかったかい。」
葵「わかったよ。父さん。。。」
葵はとにかく、この場を離れる事ばかりを考えていた。そして、逃げるように飛び、その瞬間姿を消した。
子供はきょとんとした表情で消えた龍、葵を探していたのだった。。。
さぁ、この子供。この小学校に通う、
5年D組、今井花音(いまい かのん)
花音「あ、行っちゃった。。。」
🎶キーンコン、カーンコン🎶
休み時間の終わりのチャイムが鳴り響く中、花音は教室に戻って行った。
席につき、窓の外を見る花音。。
花音の席は窓際であり、後ろの方の席だった。担任の宮木は、この花音が気になる。なぜなら、花音は誰かと一緒にいようとはしないからだ。いつも、一人な事が多く、誰かにいじめられて、、と言う形跡もなく、まわりの友達は花音に普通に接していた。
とにかく、不思議な雰囲気を持つ花音を宮木は気になっていた。
あかり「ねぇ、花音ちゃん、次の休み時間、一緒に遊ぼ。」
前の席のあかりはよく、花音に話しかける。
花音「いいよ。何するの?」
あかり「屋上でね、ゴム飛びするんだよ、皆で。だから、花音ちゃんも一緒に、ねっ!」
屋上と聴いて花音は、(またいるかな?)そう、つぶやいた。
女の子達と一緒に教室をでる花音を見て宮木は少しほっとする。
宮木「よかった。。少しでも、友達と関われば、今井も明るく見えるだろう。」
男子「先生、ドッチボールやろうぜ!」
クラスの男子が宮木を誘い一緒に屋上へと上がった。
上がって、宮木が目にしたのは、花音だった。
女の子達と一緒に上がり遊ぶ姿を想像していた宮木には一人である場所に座る花音が居たからだ。
宮木「やはり、だめか。。。」
なぜ、一人でいたがるのか?別に気にしなければ、いいが、問題があるわけではないし、手はかからないし、友達とのトラブルもなく、成績もそこそこ、悪くない。
(ただ、気になる。この娘の視線の先が。)
宮木は花音がいつも、何処を見ているのかが、気になっていたのだ。
花音は辺りを見渡す。
花音(いた!、、龍だ。)
花音には見えていた。葵の姿が。。
花音は柵の上にいる龍の側に行き、柵にもたれた。
葵は花音を凝視した、(な、な、な!、、、)慌てて、逃げるようとする葵に花音が初めて声をかけた。
花音「あなたは、どうしているの?」
葵は、一瞬息をのむ。
花音「神様?」
葵は恐る恐る、答える。
葵「違うよ。。僕が見えるの?!」
花音「うん。。。ずっと前から見えてた。あそこに座ってたよね。」
葵「うん。。。どうして、見えるの?それに、僕が恐くないの?」
花音「恐くないよ。あなたは悪いものじゃないから。」
葵は(悪いものとは?何だろう。。。)
考えたが、わからなかった。。
「花音ちゃん!、、次、花音ちゃんだよ!」クラスメイトが呼びに来た。
花音「わかったよ。今行く。」
何もなかったように花音は葵から離れた。勿論、そのクラスメイトには葵は見えない。
「ちょー、難しいよ!飛べるかな?」
他愛もない会話をしながら、花音はその集団に戻って行った。
葵は花音から目が離せなかった。。
初めて交わした人間の子供との言葉。自分を恐がらない。。人間の子供。。
やがてチャイムが鳴り、子供達は教室へと戻って行った。。。
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