小さな龍の物語
中筒ユリナ
第1話 龍の子
龍神「さぁ、葵。飛ぶ練習だ。」
葵「えい!」勢いをつけて、木のてっぺんから飛んだ葵。。。すぐに真っ逆さまに堕ちる。。。父である、龍神は堕ちる葵を大きな身体で受け止めた。
葵「父さん、、、」
今にも泣きそうな葵を龍神は、優しく包む。
葵はこの龍神の子。今はまだ幼く空を飛ぶ事もできない。。。
自分もいつか父のように、大きく、優しく、人間を守れるようになりたい。そんな、龍神になりたい。そう、思っていた。
さて、ここは人間の子供が通う小学校。いつも、賑やかな場所だ。葵は、父から離れ遊びに行く時、必ずこの場所を訪れる。
そう、学校の屋上。
その屋上に休み時間になると、沢山の子供達が遊びに上がってくる。
女の達は集団で、ゴム飛びをする姿はお決まりだ。その他、鬼ごっこなど、各々に皆が遊ぶ姿を、いつも葵はその端に座り見ていた。
勿論、子供達からは、葵は視えない。。。
葵「人間の子か。。。皆元気だな。父さんは、この人間達を大事に思ってる。だから、僕も人間達を大事にしなきゃ。」
そんな事を葵は思いながら、いつも子供達を見ていたのだ。
そんなある日。。。
いつもの様に屋上にき来た葵はいつもの定位置に座り、校庭を見ていた。
体育の授業なのか、先生と子供達の集団が見えた。どうやら鉄棒のお勉強らしい。まだ、小さな子供達のようだ。
先生に指導されながら、鉄棒に捕まり、腕と全身を使い地面から両足を浮かせ鉄棒に捕まっている。そこから、前にクルリと回り地面に足をつける。
「前まわり」とその先生は言っていた。
その、様子を見ながら葵は自分が空を飛ぶ練習をするのと同じだと、感じ、(皆、できるようになるんだな。)と思うのだった。
(僕も頑張ろう!)葵は帰ろうとした。
その時、葵の座る場所の直ぐ下に葵をじっと、見つめる子供がいる。葵は、自分の姿は視えないはずだと、この子供が何処を見ているのかを辺りを見る。しかし、どう見てもその子の見る先は自分でしかなかった。
葵は目を疑う。(見えるはずない!)
帰ろうとしたのに、葵はその子から目が離せなかった。。。
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