わたしがわたしである証拠
ホールケーキを食べてから、ジュンに会うのが不安になった。そしてジュンに会いたくなった。
なんなんだーこの感情は......。
みきとして会うジュンはまるで初恋の人みたい。
初恋したことねーけどねっ。たぶん.....。
ジュンがいつもと違う。哀愁漂うイケメンみたいな顔しやがる。調子が狂う.....。
『美姫 いつ帰ってくんのー?』
『まだ〜』
『ラジャ』
しばらく月日が流れ、ジュンはみきに連絡して来ない。
なんでじゃーっ。しびれをきらしたわたしは自ら動いてしまう。
『ジュンさん お元気?のみにでもいこーぜ』
あ、ちがう ちがう
『ジュンさん お元気?飲みに行きませんか?』
普通の文章で打つと、飲みに行きませんか?って艶っぽさ満開な響きだな!わぁお!
あ、送信してしまった......。
『はい 是非とも』
だから、早いって 返信が
ジュンに行き先は任せた。ジュンはどんな飲みデートをするんだろかっ。
+++
焼き肉でした.....や 焼き肉?そりゃわたしは好きだけどさ。今の女子ならおしゃれで、お腹にたまらない、バーとかバルとかイタリアンとかじゃないの〜?
「焼き肉好きでした?」
「大好き」
「よかった〜」
そのよかった~の顔がとてもとてもかわいいのはなぜですか、なぜに......。
なんで今更わたしがジュンを可愛いとか思っちまうの。
向かい合わせに座り、ジュンはどんどん肉を焼き、わたしのご飯の上に乗せる。ぴょーんと肉を。
ジュン、あんたデート回数少ないな....フツーは引くぞ?これ。初めての食事で焼き肉丼。
まっわたしは気にせずそのまま肉でごはん巻いてお口にインしますけど。
「美味しい?」
「ふぁい おいひーです」
「ハハハハ みきさんも可愛いな」
ん?みきさんも?可愛い?
「生中2つ!」
「あぁ勝手に俺 なんか飲みたいのありますか」
「生中で 焼き肉ですよっ」
「ですよねーっ」
結局わたしは焼き肉屋で既に生中3杯いただいたっ。ニンニクとビールが融合した強烈なゲップを小さく小刻みに放出しながら、二軒目の焼酎バーへ。
これ、おっさんコースでしょ.....。
わたしは分かっていた。
ジュンが先に酔っ払うだろーよと。
「みきさあん、俺ぇ....」
「ん?なに」
「美姫に会いたいんす」
「みき?美姫?」
「あいつ メールは返すくせにどこで何やってんだかー。クリスマス前から会ってないんすよ〜」
「はあ....」
「俺 なんでこんなアイツに会いたいんだろ ンヒ アソコに毛生えてない頃から知ってるんすよ〜」
ジュン...言葉が単語がだんだんヒドイぞ
「心配なんすよね 何かあったんじゃないかって あいつ、いつも笑ってただのバカだけと......」
「にいちゃん その子のことが好きなんだろ」
誰?隣のオッサン絡むなや!
「そうっすかねー。やっぱりそうなんすかねー。」
「隣にいるべっぴんさん差し置いて、そんな話するくらいだ。惚れてんだろ にいちゃん」
あ そうだったべっぴんさん。
あ!今何時?21時16分
0時はまだだけど、ちょいとこりゃ、ずらかろうっ。
そろそろ、コイツも送らねば
「すいません タクシー呼んでください」
「ジュンさん ジュンさん 家何処ですか?」
「ん?そのへんっ」
ああ だめだこりや。
まっ分かってるからいいか。
わたしだって酔っ払いさ。
.......タクシー着いても起きないジュン
パシッ「こらっ起きんかコラーッ ついたぞ」
タクシードライバーがお化け見たくらい驚いた顔した。
ジュンの肩を担いで降りる。
鍵をわたしに渡すジュン、はいはいっ開けますよ〜
わっ意外に片付いてんじゃん
あ、出る前バナナ食べたな?
「はいっ」
ジュンをベッドに肩からおろしたつもりが
イッテーッ う゛ う゛ う゛ おもい
シンデレラのわたしは力ないのかよっ
ジュンの下敷きになった 頭も打った
ついてない
ジュンが頭をあげる
「あ」
今すぐのいてくれ、圧迫死する―――ッ
肘を付き軽くなったジュンが.......
わたしの服を引っ張った。
左肩の袖を下げたんだ。
ジュンは見つけてしまった わたしがわたしである証拠を
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