第123話 冬のデート

「お、お待たせ!」


「おう、おはよう」


今日は遥と出かける日だ。


「えへへ...おはよう!」


遥は走って来たのか、少し息を切らしている。

遥の服装は白いワンピースを着ていて、後ろで結んだ髪も相まってとても可愛く見える。


「さぁ、行こうか」


「うん!」


俺が歩こうとすると。遥が手を出してきたので俺はその手を取る。


「へへ...」




今日の予定は遥に任せているので、俺は遥に着いていく。


「どこに向かってるんだ?」


「もう着くよ!」


「ここは...」


そう言って遥が指差したのはプラネタリウムである。


「どうかな...?」


「いいんじゃないか?」


「よかった!」


そして、俺たちは手を繋ぎながら中に入って行った。




「あのさ...カップルシートでいいかな?」


遥は少し遠慮がちにそんなことを言う。


「ああ、構わないよ」


見たところカップルシートのほうが普通の席よりお得になっている。

なのでそちらの方がいいだろう。


「うん!」


遥はニコッと笑いながら受付へ行った。




「楽しみだね!」


「そうだな」


俺たちは今、カップルシートでプラネタリウムが始まるのを待っている。



まもなくすると、


「それでは、プラネタリウムをお楽しみください!」


と言う声がスピーカーから聞こえ、部屋の中が真っ暗になる。


「楽しみだね」


「ああ」



「あれがーーー」


スピーカーで星の説明をされているが全く頭に入ってこない。

何故なら、遥は無意識かわからないが俺の手に自分の手を絡めて恋人繋ぎのような形になっている。

更に遥は俺の体に密着してきて、いい匂いがさっきからずっと漂ってくる。

しかし、当の本人は何食わぬ顔で星を見ているのだ。



「楽しかったね!」


「あ、ああ、そうだな」


真っ暗な上、密着した状態で遥と触れたため、俺は不覚にもドキドキしてしまっていた…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る