第122話 冬休みの遥

冬休みに入って約1週間が経った時


(み、みやびと会えてない...)


自分の部屋で1人頭を抱えているのは遥だ。


(お、おかしい...私の予定だったら今頃みやびとイチャイチャしてるはずだったのに...)


「あぁ〜、なんでこうなったの!」


流石にこのままじゃまずい...

私はスマホを出してみやびとのトーク画面を開く。

そこには1週間前から1つも会話してない画面が映っている。


このままだと、この冬休みは美央の1人無双状態になっちゃう…


「よしっ!」


私は気合を入れて立ち上がり、急いで支度をする。


(みやびの家に行ってデートに連れていっちゃおう!)


そして、足早にみやびの家へ向かう。




ピンポーン!


「ん?」


俺と美央が旅行から帰ってきて、家でゆっくりしていると、突然インターホンがなる。

確か宅配などは頼んでいないはずだが...


「私が出ますね?」


「ああ、頼むよ」


美央はインターホンのカメラを見る。


「...ふふ、これは...」


「どうした?」


「どうやらお客さんのようです」


美央はそう言って、ドアを開けに行った。

客?そんな予定あったか?


美央がドアを開けた音が聞こえると


「み、みやび!ってあんた⁉︎」


「あらあら、はるかさん久しぶりですね」


遥?


俺はチラリとドアの方を見る。

そこには遥が美央と軽く言い合いをしている姿があった。


「はるか」


「み、みやび⁉︎」


俺が近づいて呼ぶと、遥は焦った様子で俺を見る。


「どうしたんだ?急にこっちに来て」


「そ、それは...」


俺が遥の目を見ると、遥は気まずそうに目線を逸らす。

その目線の先には美央がいた。


「ふふっ」


「な、なによ!」


美央は何故かおかしそうに笑った。

何かあったのだろうか?


「別に何も?」


「っ〜⁉︎やっぱりあんた嫌い!」


「え〜?酷いですぅ!」


美央は笑いながら遥に言う。


「そ、それで..みやび...?」


遥は緊張した様子で俺を見る。


「どうした?」


「そ、その...冬休み1日だけでいいから...2人きりで出かけたい!!」


「...え?」


なるほど今日はそれを言いに来たのか...

遥とは一度別れたが、再度俺に好意を抱いてくれているらしいのだ。


「うーん...」


俺がチラッと美央の方を見ると、美央はニコッと笑った。

これは行ってこいってことなのか?


「行ってきて構いませんよ!みやび君のことは信じてますから!」


美央は満面の笑みで俺に言う。


「...そうか」


「じゃあ行ってくれるの?!」


「ああ、行こう」


こうして、俺の冬休みには遥との遊びの予定が入った。

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