第121話 温泉旅行

「ふわぁ..おはようございます...」


「おはよ、みお」


眠い目を擦りながら起きてくる美央を見て、俺は抱きしめてみる。


「んむぅ?...みやびくん..どうかしました?」


「みおが可愛いなって思って」


「えへへ、嬉しいです」


美央はまだ眠さが残っているのか、いつもの余裕のある笑顔ではなく、幼く可愛い笑顔を浮かべている。




「みやびくん!早く行きましょう!」


「ああ、ちょっと待ってくれ」


今日は美央とお出かけをする日だ。


俺は準備をし終えると、待っている美央の元へ行く。


「もう!遅いです!」


「悪い悪い、さ、行こうか!」


「ま、待ってください!」


美央は冬用のニット服に身を包み、少し寒いのか袖に手を半分ほど隠しながら俺の服を掴む。


「手...繋いでください...」


「ああ、もちろんだ」


俺はその細い指と俺の指を絡ませ、恋人繋ぎで歩いた。




「着いたな」


ここは電車で少し行ったところにある温泉旅館だ。


俺たちは早速チェックインをして、部屋に入る。


「早速浴衣に着替えてみませんか?」


「ああ、そうだな」


そして、俺たちは着いてからすぐ浴衣に着替えた。


「ど、どうでしょう...?」


「...きれいだよ」


「〜っ⁉︎そ、そうですか...」


美央の浴衣姿は美央の大人びた雰囲気も相まって、実に色っぽい。


「み、みやびくんも似合ってますよ!」


「そうか?ありがとな」


俺たちは浴衣姿のまま、近くのお店を軽く回った。




その日の夜、


「え?ということはみやびくんと一緒に?」


ここの風呂は客室に1つずつ露天風呂が付いているらしい。


「ああ、早く入ろうぜ」


「ままま、待ってくださいよ!まだ心の準備が...」


美央は突然のことで焦り出してしまった。


「はぁ...みお、入ろうぜ?」


「っ⁉︎」


俺は美央を壁際まで寄せ、美央の後ろの壁に手を置いて、美央の逃げ場を無くした。


「み、みやびくん?」


「入ろうぜ?みお」


「ぅう〜...みやびくんはずるいです...」


美央は諦めた様子で了承した。



「ま、まだ見ちゃだめですよ!」


俺が露天風呂に浸かっていると、ようやく服を脱ぎ、美央もやってきた。


「もういいか?」


「は、はい...」


俺は美央の方を見ると、美央はバスタオルを巻いて少し恥ずかしそうにこちらを見ていた。


(別に裸くらい何回も見たのに...)


風呂だと何か気分が違うのだろうか?


「な、なんですか...?そんなに見つめられると...」


すると、美央は気まずそうにもじもじしだす。


「みお...可愛いな」


「あ、ありがとうございます...」


美央は居心地が悪いのか、少し俺から離れる。


「みお?...なんで逃げるんだよ」


「べ、別に逃げては...」


「じゃあこっち来てくれよ」


「わ、わかりました...」


美央は少し深呼吸をして、俺の方へくる。


「み、みやび君もカッコいいですね!」


「ああ...ありがとな?」


急にどうしたんだろうか?

なぜか美央が急に俺を褒め出す。


「みやび君は本当にカッコいいですよ!」


「ありがとな」


「むぅ...思ってた反応と違います!」


一体何を期待されてたんだ...


「最近のみやび君は余裕出し過ぎです!」


そう言うと、美央はいきなり俺を押し倒す。


「どっ、どうした?みお」


「んむっ」


そして、そのまま俺にキスをし始める美央


「みお...?急にどうしたんだよ」


「...してください」


「え?」


「い、今ここでしたくなったんです!してください!」


するって...ここで?


「い、いいのか?」


「...はい」


そして、俺たちは夜空の下で愛しあった。

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