第109話 勝負

翌日、俺が学校に着くと


「み、みやび..その、おはよう!」


遥がぎこちない笑顔で挨拶してくる。

最近全く喋っていなかったため、まだ少し気まずさが残っているのだろう。


「ああ、おはよう」


「っ...!」


俺は挨拶を返しただけなのだが、なぜか遥は顔を赤くして俯く。


「えっと...どうした?」


「な、なんでもない...」


遥は顔をあげたが、俺とは目を合わせようとしない。


「...」

「...?」


「みやび君!明日の体育祭頑張りましょうね!」


俺と遥の間に少し沈黙が流れると、美央が横から俺の腕に抱きついてくる。


「っ⁉︎...み、みお...あんた」


遥は突然来た美央に驚いている様子だ。


「お久しぶりですねはるかさん」


「な、なんでそんなべったりしてんのよ!」


「はい?だって私たちは恋人同士ですから!当たり前ですよ?」


「...っ、そ、そう...」


遥は苦悶の表情を浮かべながら、少し後退りする。


「だ...だったら勝負よ!」


「?、勝負ですか?」


遥は勢いよくそう言いながら、美央の顔に指を指す。


「そう!体育祭の本番!私と美央が被る競技があるからそれで勝った方がみやびと一日中デートできる!」


「はぁ...ふふ」


「な、何がおかしいの?」


勢いよく言った遥の言葉を聞くと、美央は軽く笑う。


「だって私たちは恋人同士ですよ?デートなんていつでも行けますから」


「なっ...」


美央の言葉に遥は絶句する。


「どうして驚いているんですか?私たちはキスだってそれ以上のことだってしてるんですよ?」


「わ、私だってみやびとHしたことあるから!!!」


「お、おい声が大きいぞ」


遥が大きな声でとんでもないことを言うため、周りからの視線がすごい量になる。


「はるかさん、お言葉ですが私は毎日のようにみやび君に愛してもらってますよ?昨日だって一昨日だって...はぁ、思い出すだけで火照ってきちゃいます...」


「っ〜!か、回数じゃないから!」


「そうですか?回数の分だけ愛されてるってことでは?」


「そ、そんなわけないから!」


このままでは遥と美央の言い争いは一向に終わらない。


「はぁ...そこまでにしてくれ、みんな見てるぞ」


「あっ...うぅ」


「ふふ、私はみやび君への愛を皆さんに伝えたいですけどね?」


遥は恥ずかしがっているが、美央は本当にブレないな...

まあそこも含めて好きなのだが

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る