第108話 遥の宣言 その後
遥の宣言を聞いたあと、俺たちは少し気まずい空気の中、教室へ戻り材料を係の人に渡す。
「お疲れ様ですみやび君!あとは係の人にまかせて今日はもう帰りましょう!」
「ああ」
俺はふと遥の方を見るが、遥は気まずそうに友達の元へ駆け寄って行ってしまった。
「みやび君?行きましょ?」
「あ、ああ」
「今日のご飯は何がいいですか?」
「あー...そうだな...」
俺はさっきの遥のことが頭から離れなかった。
明日から遥は俺に喋りかけてくれるのだろうか、もう諦めていたはずの遥だがいざまた会話をできるとなると、少し複雑な気分だ。
なにしろ俺にはもう美央がいるのだ。
もちろん今は美央のことが好きだ。
しかし、いざ遥が戻ってくると思うと...
「みやび君?聞いてます?」
「あ...悪い」
俺が考えていると、美央は怒ったように頬を膨らませて俺を見る。
「悪いと思うならキスしてください!」
美央は俺に顔を近づけて、目を瞑る。
「ここで?」
流石に外でのキスはまだ抵抗がある。
「もちろんです!早くしてください!」
「...わかった」
俺は美央と唇を交わす。
「んっ...」
美央の色っぽい声と唇の柔らかさによって、俺は興奮が止まらなくなる。
「みお...」
「ふふ、急ぎましょうか?」
「ああ..」
流石にこんなことをされれば我慢はできない。
俺はさっき考えていたことも忘れて美央を求めてしまう。
「ふふ、とってもよかったですよ...」
俺がベッドに座っている俺の隣でまだ寝転んでいる美央を見ていると、美央は後ろから手を回して抱きしめてくる。
「俺も..よかった」
俺は美央の腕に触れてさっきの余韻に浸る。
「みやび君、学校で何かありました?はるかさんと帰ってきたあと少し様子がおかしかったですけど...」
「そ、そうか...?」
これは言うべきなのだろうか?
今日の出来事を美央に言ったところで俺の気持ちは変わらない。だがこれを言えば美央が不安になるんじゃないかと思い、俺が悩んでいると
「みやび君、私たちは恋人ですよ、隠し事は悲しいです...」
「..そうだな」
結局俺は遥のことを全て美央に伝えた。
「...なるほど、では明日からはるかさんはみやび君に話しかけてくるのでしょうか..」
「まあ、多分そうだと思う」
美央は少し考える素振りをした後
「みやび君は私の方が好きですよね!」
「ああ、もちろんだよ」
遥のことは前までは確かに好きだった。
しかし、それは前までの話だ。
「ふふ」
俺は美央の頬に手を添える。
すると、美央は俺の手を掴んでそのまま目を瞑る。
「眠い?」
「はい..少し」
「じゃあ今日はもう寝ようか」
俺は美央と同じ布団に入りながら眠りについた。
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