第107話 遥の宣言
夏休みも終わり、俺たちは体育祭の話をしている。
「2年生は体育祭の準備をしなければいけないので、その役割と自分が出たい競技2つを決めてくれ」
とのことなので、先に競技を決めることにする。
「みやび君は何をするんですか?」
俺が出る競技を考えていると、美央が後ろから声をかけてくる。
「ん?俺はそうだな...100メートル走とあと1つだな」
「では二人三脚はどうでしょう!!」
「二人三脚か、俺とみおで?」
「はい!私とみやび君なら優勝間違いなしです!」
確かに、運動神経がいい美央と出れば優勝はほぼ確実だ。
それに美央と出られるなら楽しそうでもある。
「わかった、出よう」
「ホントですか!嬉しいです!」
こうして、競技を決めるのは済んだが次は準備の役割だ。
「とりあえず何人かに別れよう、外の観客席を並べる人と材料を調達する人、それと看板を作る人の3グループに別れて」
クラスのリーダーがそう言って、俺たちは各々固まる。
とりあえず俺は材料を調達するグループに入る。
当然美央もそのグループに入った。
しかし、ここで予想外のことが起こった。
「〜〜じゃあダンボールを集めてくるのを氷室さんと神楽くん、お願いするね!」
「「えっ⁉︎」」
思わず俺は驚きの声をあげてしまう。
そこで誰かと被ったような気もするが、気のせいだろうか...
そんなことを言われたあとはみんなさっさと材料を集めに行ってしまう。
美央も俺を信頼してか、さっさと材料集めに向かって行ってしまう。
「...い、行く?」
「あ、ああ...」
俺たちは気まずい空気のまま出発することになった。
「...」
「...」
俺たちは何を話せばいいのかわからず、無言のまま目的地へと歩いていた。
俺は横に歩いている遥の顔を気づかれないように、こっそりと見ると遥は真っ直ぐに前を見て俺のことなど気にしていない様子だった。
そして、俺たちはダンボールをもらい、教室に帰る途中のこと
「あ、あの!みやび!」
俺が少し前を歩いていると、後ろから遥が抱きついてくる。
「なっ⁉︎は、はるか...?」
「もぅ...耐えられないよ..」
「え...?」
遥は何故か泣いており、おかしなことを言った。
「みやび...ごめん..なさい、私...縁切るなんてことして...ホントに」
「は、はるか..?」
俺がらこの状況の整理ができていないまま、遥は続ける。
「パパからはもう関わるなって言われたけど...私、みやびのこと...好きだから...お願いもう一度彼氏彼女としてやり直して!」
「...」
なるほど、俺だけが悩んでいたのかと思っていたが、遥も悩んでくれていたらしい。
だが、今の俺は...
「ごめん、それは無理だ」
「..え?」
「俺は今みおと付き合っているんだ、だからはるかと付き合うことはできないよ」
「そん...な」
「ごめんな」
そう、もう今の俺は美央を手放すことができなくなっていた。
「でも...私諦めないから!」
「私...1からまたみやびを誘惑して私に惚れさせて見せるから!!!」
遥は泣きながらも、気合を入れたようにそんなことを宣言したのであった。
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