第106話 美央の計画
「おはよう、みお」
「ふわぁ、まだもう少し寝たいです...」
「じゃあもうちょっと寝るか」
昨日は夜遅くまで美央とイチャイチャしていたので、もう少し寝ることにする。
「んむぅ...みやび君を抱き枕にして寝ます」
美央は俺に抱きついて俺に身を任せて眠ろうとする。
「みお...」
「ふぁぁ…みやび君..」
俺が美央の頭を撫でると美央は安心したように眠りについていった。
美央が眠りについた後も俺は美央の頭を撫でていた。
美央の無防備な姿を見ると本当に信用してくれているのがわかる。
《美央》
みやび君と付き合うことになった直後、私にはある作戦がありました。
それはみやび君に素っ気なくするということです。
みやび君と付き合って遥さんへの思いより、私への思いの方が大きく上回るようにするには、少し距離を開けてみやび君から私を求めてくることです。
すると、みやび君は私の計画通りすぐに私に甘えてきました。
付き合ってるのに素っ気ないのは、自分は愛されてないのかと不安になってしまいます。
そしてみやび君が甘えてきた時に沢山私の良さを覚え込ませることによって、みやび君は私を大事にしてくれる。そう思ったのです。
その効果もあってか、最近はみやび君から誘ってくることも多くなりました。
あとは思い切り距離を詰めてみやび君とイチャイチャする関係を保つだけです!
ふふ、これが私と遥さんのレベルの違いなんですよ!
《遥》
夏休みに入り、私は友達とカラオケに来ている。
「次!はるか歌う?」
「わ、私はいいかな!」
何とか元気に振る舞えているはずだけど、時折私は泣き出しそうになってしまう。
理由は簡単だ。
雅と美央が付き合い始めたらしい。
友達からチラッと聞いただけの単なる噂だったけど、2人の様子を見てるとそれが本当のことだと分かる。
何せ距離が近すぎるのだ。美央が距離を詰めても雅はそれを拒むどころか受け入れている。
今の私は正直焦っている。
雅と接触しても前の関係に戻るのは難しい。
もし雅と喋れるくらいになったとしても、パパにバレたら今度こそもう連絡手段さえ切られる。
私はそんなことで悩みながら毎日を送っていた...
「はぁ、よく寝ました」
小一時間ほどで美央は起き、今は家に帰ってきたところだ。
「楽しかったよ、昨日はありがとな」
「いえいえ、こちらこそですよ!」
「いや、俺何もしてないし」
「そんなことないですよ、だってその分は夜に返してもらいましたから...!」
「っ⁉︎」
そういうことか...美央は昨日の夜を思い出したのか頬を赤くして悶えている。
しかし、軽く下ネタを混ぜてくるところを見ると、前の美央に戻ったようだ。
俺と美央が付き合い始めた時は、なぜか少し距離ができていたような気がする。
しかし、今ではその距離もなくなっているように思える。
「みやび君、一緒に映画でも見ませんか?」
美央はソファーに座り、テレビを操作しながら俺を誘う。
「いいな、見ようか」
俺も美央の隣に座り、テレビを見ると美央がこてんと俺にもたれてくる。
そんな美央の髪を撫でてやると、美央は気持ちよさそうに目を細めながら、俺の膝の上に頭を乗せてくる。
「よ、よかったですか?つい気持ちよくて!」
「ああ、別にいいよ」
はたして男がする膝枕は気持ちいいのだろうか。
まあ美央がしたいと言っているので、気にせず俺は美央の頭を撫でながら映画を見ていた。
「面白かったです」
「そうだな」
映画も終わり、俺は軽く伸びをする。
「みやび君の膝の上で映画を見る...はぁ、最高の時間でした!」
「はは、別にそんなことならいつでもするけど」
「ホントですか!あ、でも今はみやび君に抱きしめてもらいたいです..いいですか?」
「ああ、いいよ」
俺は美央の体を覆うように抱きしめる。
「みやび君に抱きしめてもらうと安心します!」
「それはよかったよ」
すっかり元の美央に戻った様子を見て、俺は少しイタズラをしたくなってきた。
俺は美央の首を優しく舐める。
すると、美央は「んっ...」と色っぽい声を出し、軽く体を跳ねさせる。
「もぉ...みやび君ったらぁ...」
「みおが可愛いのが悪いんだからな?」
俺は美央の首から耳に舌を這わせる。
「あんっ...みやび君、そんなに...」
「..可愛いよ」
「もう...ちゅ」
美央は俺の唇を奪い、そのまま快楽を与えてくる。
美央と付き合ってから、俺の中の欲が抑えきれていない。
俺にとっての美央はそれほどまでに大きな存在となってしまっていたのだった...
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