第98話 それぞれの思い

《美央》


最近のみやび君はやけに素直になっています。

私のことを可愛いなど言ってくれたり、それ自体は全然構いませんがただ...心の準備が...

遥さんは今はみやび君とは縁を切っているみたいですが、おそらく、いつか戻ってきます。

だってあれだけ好き好き言っておきながら、縁を切るのはあんなにあっけないなんておかしいです。

つまり、今がみやび君を堕とす絶好のチャンスです。

しかもおそらくみやび君は前に私に思いを伝えてきた時より、もっと私のことを意識しています。

みやび君はもう堕ちる寸前です。


決めました!私...家に帰ってから本気でみやび君を堕とします!




《遥》


雅と別れてから少し経ったけど、まだこの生活には慣れない。

いや、慣れたくない、と言った方が正しいかもしれない。

雅がいない生活は毎日が退屈で、何に対してもあまりやる気が起きない。

友達には雅と別れたって言ってるけど、私はそんなつもりはない...


私はふとバスの中の雅を見る。

そこには美央に流されるがまま、美央の頭を撫でている雅の姿が見える。

その瞬間、私は嫉妬の感情に襲われる。

本当なら...私がその場にいるはずなのに...どうして私はここにいるのか?...

完全に私は蚊帳の外である。

でも、私はまだ諦めたわけじゃない。


今はまだ近づけないけどいずれ何かしらの形で絶対にヨリを戻す!

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