第97話 遠足②
「いいじゃんか〜、一緒に周ろうぜ?な?」
外に出たものの、まだそいつらは付き纏っている。
おそらくここで引き下がるのはかなりダサいので、引くに引けなくなっているのだろう。
「あの、すみませんが本当に邪魔です」
「じゃ...邪魔...」
リーダー格の男子はショックを受けたようで、流石に少し距離を取ったがまだ諦めてはいないようだ。
「と、ところで神楽?だったっけ?そいつとはどんな関係で?」
「あなたに教える必要がありますか?」
(こいつら...もう余計なことは言わない方がいいのに...)
「そ、そんなこと言わずに...ね?」
「はぁ、まあ強いていうなら...愛を囁きあったパートナー...でしょうか?」
うん、違うな、早く取り消そうか?
と言いたいが、今の美央に余計なことを言うと、俺まで怒られてしまいそうだ。
「だから私たちのデートを邪魔するなら、こちらとしても容赦しませんが?正直付き纏ってきて気持ち悪いです」
「す、すみませんでした...」
流石にメンタルにきたのか、そいつは仲間を連れて去っていく。
「はぁ、非常に不快でした」
美央はだるそうに言う。
流石にあそこまで言われていたら、あいつらも少し可哀想に思えてくる。
「みやび君、少し公園で休憩しましょ」
「おう...」
俺たちは近くの公園に入り、ベンチに座る。
「全く、みやび君の素晴らしさがわからない人とは話していても楽しくないです!」
「そ、そうか...?」
「もちろんです!それで...さっきの続きを...」
美央は期待いっぱいの目で俺を見てくる。
「...なんだよ」
「私は聞き逃しませんでしたよ!みやび君が私に可愛いと言ったのを!」
「で、でも...それはさっきであって...」
「今は可愛くないですか...?」
美央は上目遣いで俺を見つめてくる。
「...」
「ん!」
俺が少し視線を逸らすと、美央は俺と目を合わせようと移動して顔を近づけてくる。
「近いぞ」
「みやび君が可愛いって言ってくれれば退きます!」
くそ、さっきから美央の甘い匂いがして、変な気分になってしまいそうだ。
俺は仕方なく覚悟を決め言うことにする。
「...っ、か、可愛いよ」
「〜っ!最高の気分です!本当に言葉だけで...イケそうです...」
「おい!ホントに最近容赦ないな⁉︎」
遥がいなくなったからか知らないが、本当に最近美央は攻めすぎだ。
いつか本当に俺のストッパーが取れたらどうするんだ。
「ほーら!可愛い私が今からキスをしてあげますよー!」
美央はそう言うと、赤くなった顔を近づける。
「っ⁉︎」
美央は舌を入れ、そのまま俺の歯茎をなぞるように舌でなぞってくる。
一体どこでこんな技を覚えてきたのだろうか。
「っ〜〜!」
正直もう限界だ。
少し前に美央に思いを伝えた。
遥がいない今、美央にこんなことをされると流石に意識せざるを得ない。
「ぷはっ...どうですか?少し勉強してみたんですけど...」
「いや、あの...なんていうか...最高です」
「ふふ、そうですか!そうですか!これはみやび君!私に惚れるのも時間の問題ですね!」
「え?そ、そんなことはないと思うけど...」
流石に俺だってすぐに美央の方へ行く、という軽い男ではない...と信じたいが、遥がいる時ですら少し美央にも惹かれていた部分はある...
「みやび君、気づいてないかもですが最近私に素直になってきてますよ?」
「き、気のせいだろ?」
「ふふ、それはどうでしょうか?」
口では否定しても、悪戯っぽく笑う美央に、俺はさっきからドキドキしっぱなしだった。
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